米音楽界最高峰の祭典、グラミー賞で12年ぶりにジャズシンガーが最優秀新人賞を受賞した。艶のあるヴェルベットボイスの23歳、サマラ・ジョイだ。初来日に合わせてAERAが単独インタビュー。ジャズとの出合いや自身の表現、そして初めて訪れた日本の聴衆の印象など存分に語った。
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――グラミー賞で「最優秀新人賞」「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞」の2つを受賞しました。ジャズシンガーが最優秀新人賞を獲るのは12年ぶりだとか。まずは、ジャズと出合ったきっかけを教えてください。
16歳のときに学校のコンサート用のバンドで歌ったのがジャズでした。それまでは全然ジャズというジャンルを意識したことはありませんでした。その後、大学に進んでジャズを本格的に学びました。
――4月には初めて来日して、東京・恵比寿のブルーノート・プレイスでのショーケース・イベントがありました。高音から低音まで幅広い音域、繊細かつ大胆な表現に圧倒されて、すごくすてきな夜でした。反響も大きかったと思うのですが、サマラさんにとってはどんな夜でしたか。
とっても素晴らしい夜でした。もっともっと歌いたかった。自分にとって初めての日本なので、日本のみなさんへのあいさつ代わりというか。「招いてくれてありがとう」という気持ちでした。
――日本で歌うこととアメリカで歌うことはやっぱり違うのでしょうか。
アメリカと比べると圧倒的に静かで、「楽しんで聴いてくださっているといいな」と時々思ったんですけど、その静かさをいい意味で最大限に利用して、自分のものにして歌おうとバンドも自分もとても楽しみました。アメリカのお客さんはちょっとうるさすぎるときもあるんです(笑)。
――確かに盛り上がり方はぜんぜん違いそうです。日本での滞在は楽しめていますか。
ショーケースをしたときも感じましたが、ヨーロッパやアメリカにはない誠意というか、音楽への愛やパッションを感じました。作られたものじゃない、心から思う感じです。
食事もすごく楽しんでいます。お肉のおすしがとってもよかった。それに、空気もおいしいし、美しい国だと思います。次はもっといろんなところに行ってみたいです。