ブルーノート・プレイスでのショーケース・イベントでは、集まったオーディエンスを魅了した(c)Eiji Miyaji
ブルーノート・プレイスでのショーケース・イベントでは、集まったオーディエンスを魅了した(c)Eiji Miyaji

――今回の滞在はサマラさんの表現において、インスピレーションになったりはしましたか。

 昨日の夜、獺祭(だっさい)を飲んだんです。とてもおいしかったから、「獺祭」「お酒」という曲をつくろうかなって思いました(笑)。日本の音楽も聴いてみたいです。でも、どこから聴き始めていいかわからないんです。まだ日本のミュージシャンを知らないから。

――表現するうえでどんなことを大切にしていますか。

 自分にとって大事なのは、その曲自体が持つ物語を歌を通じて語ること。同時に自分自身がどう感じるかということも大切にしています。テクニックも大事ですが、ヘルシーな歌い方とのバランスをとって、お客さんとコミュニケートすることも意識しています。

 ジャズを歌うときって、強弱やニュアンス、声のコントロール、抑止力、歌いまわし、フレージングだったりが大切だと思っています。そういう意味で、歌うバランスをすごく考えているんです。

 自分の思う音を出すためには、それに応じたテクニックがないとできません。ちゃんとしたテクニックを身につけることによって、自分の表現したい音を表現できる。そうでないと自分の声を抑制することになってしまうんです。

――グラミー賞の受賞やワールドツアーの成功など、駆け抜けてきたという印象ですが、一連の流れをどう感じていますか。

 自分にとっては圧倒されるような経験というか、当然こうなると計画はしていませんでした(笑)。変な話、こうして日本にいるけれど、「日本に行きたい」と夢を見る前にここまできてしまった。キャリアのこんなに早い段階で実現するとは思ってもみなかったので、バランスを取る方法を見つけながらやっています。

――最初はどんな感じでキャリアをイメージしていたんですか。

「今日のギグより明日のギグ」ということを大切にしています。今日ミスした分学んで、明日にはよりよいライブ、よりよいレコーディングができるように。バンドリーダーとして、シンガーとして、お客さんとのコミュニケーターとして成長していく。それだけを考えていたし、そのためにはまだまだ時間がかかると思っていました。それが予想を超える注目を浴びてしまって。自分はただただ「より良い自分になりたい」と思っていたところでした。

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「セレブ」みたいな扱いもされちゃって