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 去年の夏、暑さも少し和らいだ夕方、庭で草むしりをしていると背後で「フーッ」「フギャーッ」と言う声がした。振り向くと、わが家の愛ハナ(雌、14歳)がお隣の推定8歳の雄猫とにらみ合いの真っ最中だった。そっと近づくと、ハナは味方が来たとばかりに勢いづき、自分より若い雄猫に飛び掛かって毛が飛び散る空中戦となった。しかし決着はつかず、地上戦に。最後は雄猫が逃げ出し、みごと勝利をものにした。

 年の割にはやるもんだねと、夫と2人で感心していたが、2、3日後、どうも様子がおかしい。普段なら耳をかいてくれとうるさいくらいに寄ってくるのに、頭をなでようとすると嫌がって威嚇し、触らせようとしない。

 夫が押さえつけて見てみると、左耳の裏がえぐられ、化膿していた。そこで早々にかかりつけの動物病院に連れていくと、思ったより傷が深く、1泊入院して手術ということになった。

 翌日迎えに行くと、治るまで、自分で傷に触らないよう保護のためにエリザベスカラーをつけておくよう(写真)言われた。

 さて、このエリザベスカラー、ハナにとっては誠に厄介な代物だった。歩こうとすれば障子にぶつかってよろり、次に柱にぶつかってよろり……。耳をかこうとしてもエリザベスカラーをかき、カシャカシャとむなしい音をたてるのみ。

 見ている我々は可哀想だと思いつつも、ついつい笑ってしまう。

 そんなこんなで2週間あまり。ようやく抜糸がすみ、エリザベスカラーから解放されたハナは、縄張り確認に戸外へ一目散。夜になるまで帰らず、もしや仕返しに……と心配した。

 我々夫婦もじきに高齢者の仲間入り。お互い体に気をつけて、平和に暮らしていこうね、ハナ!

(石村和子さん 栃木県/64歳/主婦)

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