齋藤 孝(さいとう・たかし)/1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等、多方面で活躍。著書は『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』『コミュニケーション力』(岩波新書)、『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書)、『質問力』(ちくま文庫)、『語彙力こそが教養である』(角川新書)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(ダイヤモンド社)など多数ある。撮影/佐久間ナオヒト
齋藤 孝(さいとう・たかし)/1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等、多方面で活躍。
著書は『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』『コミュニケーション力』(岩波新書)、『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書)、『質問力』(ちくま文庫)、『語彙力こそが教養である』(角川新書)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(ダイヤモンド社)など多数ある。
撮影/佐久間ナオヒト
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 何気ない会話が上手な人は、おしゃべり好きな人だと誤解していませんか?
実は、「単なるおしゃべり」な人は、雑談力が高い人とは言えません。

 一方的に話をする人、相手との距離感を保てずダラダラと話し続ける人。

 こういう人はむしろ「コミュニケーションに難あり」とマイナス評価を受けることも。
本当に雑談が上手で会話力のある人は、サクッと会話を終わらせられる人なのです。

●「会話のドツボ」にはまってしまう

 勇気を出してコミュニケーションをとろうと話しかけてみたものの、相手の話が長くて困ってしまった。次の予定があるのに切り出せない。

 時計が気になって、相手の話が全然頭に入ってこないため、相手もやがて「話を聞いているのかな」とあなたに不信感を抱く……。

 もしくは、電車やエレベーターなどで一緒になった人との雑談で、相手が気持ちよく話している途中で自分が先に降りることになり、どうしていいかわからず、逃げるようにその場を立ち去ってしまった。

「ああ、なんて気まずい別れ方だったんだ。きっと感じの悪い人だと思っただろうな」と後悔する。

 こんな風に「会話のドツボ」にはまってしまうケース。

 誰もが一度は経験したことがあるでしょう。

●雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」がうまい

「雑談が上手な人って、要はおしゃべりな人でしょう」と誤解している人も多いかもしれません。

 しかし、本当にコミュニケーション能力の高い人、雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」が上手なのです。

 ここで改めて雑談の基本形について説明しましょう。

 雑談の基本は次の3ステップで構成されています。

 ステップ1 声をかける → ステップ2 話す → ステップ3 別れる

 雑談はすべて、この3つのステップで構成されています。

 この3ステップが、余分なものをそぎ落とし、必要最小限の要素だけを残した雑談の「基本型」なのです。

 この3ステップ目、雑談の最後は「別れる」なのです。

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