
著書は『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』『コミュニケーション力』(岩波新書)、『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書)、『質問力』(ちくま文庫)、『語彙力こそが教養である』(角川新書)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(ダイヤモンド社)など多数ある。
撮影/佐久間ナオヒト
何気ない会話が上手な人は、おしゃべり好きな人だと誤解していませんか?
実は、「単なるおしゃべり」な人は、雑談力が高い人とは言えません。
一方的に話をする人、相手との距離感を保てずダラダラと話し続ける人。
こういう人はむしろ「コミュニケーションに難あり」とマイナス評価を受けることも。
本当に雑談が上手で会話力のある人は、サクッと会話を終わらせられる人なのです。
●「会話のドツボ」にはまってしまう
勇気を出してコミュニケーションをとろうと話しかけてみたものの、相手の話が長くて困ってしまった。次の予定があるのに切り出せない。
時計が気になって、相手の話が全然頭に入ってこないため、相手もやがて「話を聞いているのかな」とあなたに不信感を抱く……。
もしくは、電車やエレベーターなどで一緒になった人との雑談で、相手が気持ちよく話している途中で自分が先に降りることになり、どうしていいかわからず、逃げるようにその場を立ち去ってしまった。
「ああ、なんて気まずい別れ方だったんだ。きっと感じの悪い人だと思っただろうな」と後悔する。
こんな風に「会話のドツボ」にはまってしまうケース。
誰もが一度は経験したことがあるでしょう。
●雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」がうまい
「雑談が上手な人って、要はおしゃべりな人でしょう」と誤解している人も多いかもしれません。
しかし、本当にコミュニケーション能力の高い人、雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」が上手なのです。
ここで改めて雑談の基本形について説明しましょう。
雑談の基本は次の3ステップで構成されています。
ステップ1 声をかける → ステップ2 話す → ステップ3 別れる
雑談はすべて、この3つのステップで構成されています。
この3ステップが、余分なものをそぎ落とし、必要最小限の要素だけを残した雑談の「基本型」なのです。
この3ステップ目、雑談の最後は「別れる」なのです。