そんな修羅場ともいえる状況に、投稿者がひねり出した言葉は「お、お母さん、ふすま閉めて!」。しかし、母親は何を思ったのかこう答えます。「閉めないわよ!」。頑なにふすまを閉めてくれなかったのです。



 「あくまで平静を装い、『とにかくいったん閉めて、あとでちゃんと説明するから。』母『閉めません』『閉めて』『閉めない』『閉めて』『閉めない』のやりとりの末、何度目かにどうにか閉めてもらいました」(本書より)



 この衝撃エピソードに、ライムスター宇多丸氏は、当然のように、母親による無断での家宅捜索は日常的に行われていると考えるべきと述べながら、「ひょっとしたらご両親は、ずっとダンボのように聞き耳を立て続けていたんじゃないの?」と邪推。こうも想像を膨らませます。



 「まさかの『閉めません宣言』! いったいそれで、お母さまは何を得るつもりだったのか? 『やましくないと言うのなら、お母さんの前で堂々とやってみなさいっ!』とか、そういうこと? な、謎すぎる......」(本書より)



 爆笑とともにどこか悲哀に満ちたエピソードが収録されている本書。しかし、どこか"憎めない母親"として感謝や称賛の声も綴られているのもまた事実です。良くも悪くも "母親の偉大さ"を再認識させられる1冊といえそうです。

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2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」