「トイレに流せるシート」なのに流してはダメ?画像はイメージ(GettyImages)
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 ある日、急に水の流れが悪くなった。

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 これまで「シャー」「ゴボゴボ」と音を立てながら勢いよく流れていたわが家のトイレが、水洗ボタンを押すと便器内に水がたまり、あふれんばかりに水位が上昇してくるようになったのだ。そのまま数分放置すれば徐々に水位は下がっていくが、「詰まった」ことは明白だった。

 ネットで調べたさまざま方法を実践しても詰まりは一向に解決せず、やむなく修理業者を呼んだ。

 わが家にやってきた若い男性はトイレに入るなり、棚にある掃除用具に目を止めてこう言った。

「『流せるお掃除シート』、流してます?」

 トイレ掃除用のクリーナーシートには、「トイレに流せる」とうたうものが多くある。拭いたらそのまま便器に放り込み、ジャーっと流してハイ、おしまい。便器はもちろん、壁や扉、床をふくのに使ってもいい。その手軽さが気に入って、わが家でも常備していた。便器をふくのに1~2枚。拭いているうちに床や壁の汚れも目についてくるのでついでにもう数枚引き出してそこら中を掃除する。最後にまとめてジャーっと流すとスッキリするので、確か、トイレが詰まる少し前にも使った気がする。

 それが「詰まりの原因」になるというのは、その時初めて知った。

 わが家のケースは2年ほど前の出来事だったが、実は、この「トイレに流せる」商品を本当に流していいのか、という問題はしばしば話題になる。今年8月にも住宅設備業者だというアカウントが「流さないで」とSNSに投稿し、7万いいね、1万回近いリポストを記録して議論を呼んだ。

 別の水道修理業者の男性もこう話す。

「お掃除シートが原因だと思われる詰まりはめちゃくちゃよくありますよ。便器内で詰まることもあれば、もっと先の排水管で詰まっていることもある。そもそも最近のトイレは節水型が主流で水量が少ないですから、慎重になったほうがいいと思います」

 トイレメーカー各社は、公式には排せつ物とトイレットペーパー以外を流さないよう案内しているケースが多い。例えば、最大手TOTOのウェブサイトにある「便器のつまりの注意事項」というページには、冒頭からこう書かれている。

<トイレットペーパー以外を流すと便器がつまります。汚水があふれて家財などを濡らす財産損害発生のおそれがあります。>

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