「コンディションを整えるのは管轄外」
球速低下の原因は、今回の戦線離脱の原因となった「右肩インピンジメント症候群」の可能性が高い。
「肩の中で腱や靱帯が骨に当たり炎症や痛みを起こす状態で、佐々木はロッテ時代も同じような症状になったことを明かしていました。一度発症すると再発することが多く、慢性的な痛みになるので、無意識に腕を全力で振れなくなっていたのかもしれません」(セ・リーグ球団の元トレーナー)
佐々木の能力の高さは誰もが認めるが、度重なる故障でロッテ時代は規定投球回数に一度も達していない。ドジャースに入団した今年も故障で離脱し、8試合登板で1勝1敗、防御率4.72。イニング数は34回1/3でQS(クオリティースタート、先発が6回以上投げて自責点3以内)率は12.5%と先発投手としては物足りない。「ロッテ時代に甘やかされたツケが出ている」という指摘が上がっているが、ロッテOBは異論を唱える。
「新人の1年目に実戦でまったく登板させず、1軍に帯同して体力作りを行った異例の待遇に賛否両論の声が上がりましたが、高卒3年目に史上最年少で完全試合を達成しています。当時投手コーチだった吉井理人監督は理論派で、投手育成のスペシャリストです。球数を制限するなど故障のリスクを減らして大事に育ててきた。ただ、コンディションを整えて良いパフォーマンスを維持するのは首脳陣の管轄ではない部分です。肉体改造を含めて自分の足りない点を補い、長所をどう伸ばしていくか。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(ドジャース)のように超一流と言われる選手はレベルアップに向け、考える能力も長けている。佐々木が伸び悩んでいるからといって、ロッテの育成手腕を批判するというのは違和感を覚えます」
メジャーはシビアな世界だ。首脳陣が求める水準に達していなかったら、居場所を失うのは早い。佐々木は失った剛速球と信頼を取り戻すことができるだろうか。
(ライター・今川秀悟)
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