“家計の味方”も“物価の優等生”も…
随意契約による備蓄米放出で、価格上昇ペースは幾分か穏やかになったがまだ高い。7月中旬の東京都区部の米の価格上昇率は、前年同月比で80%台だった。農林水産省によると、7月14日の週、全国の米小売り平均価格は5キロ当たり3585円、前年同期(2391円)を50%程度上回った。
昨年の夏場に続き、今年も食品値上げは続きそうだ。ある調査によると、8月、国内主要食品メーカー195社の飲食料品値上げは1010品目に及んだ。平均の値上げ率は11%と高い。しかも、値上げの対象品目は前年同月の661品目から増加した。
かつて“家計の味方”といわれた、豚肉も値上がりしている。7月、東京市場の枝肉相場は1キロ当たり919円、およそ半世紀ぶりとなる水準まで上昇した。また“物価の優等生”といわれてきた卵の価格も上昇傾向が続く。7月、東京地区での卵卸売価格は1キロ329円(Mサイズ)だった。
さらに、ティッシュペーパーや洗剤など家事用消耗品(日用品)、アパレル関連も、傾向として消費者物価指数の伸びを上回る月が多い。
人件費の増加が物価に響いている
値上げの要因は物流費の上昇が80.0%、エネルギー費の上昇が66.5%、包装資材費の増加が59.4%、そして人件費の増加が53.9%(重複含む)といわれている。
ただ、年初と比較すると、円高に振れたこともあり輸入物価上昇の影響は抑えられている。6月、わが国の輸入物価指数(速報)は円ベースで前年同月比12.3%下落した。契約通貨ベースでは6.1%の下落だった。
経済データを見ると、2022年ごろから2024年ごろまで、物価上昇の要因は主に円安の進行と原油、天然ガス、小麦など一部穀物価格の上昇が同時に進んだことだった。ところが、2024年春ごろからは、主に人件費の増加が値上げのかなりの部分を占めるようになっている。