
政府の補助があっても「焼け石に水」
今年の夏も、日々の生活に欠かせないモノやサービスの値上がりが続きそうだ。特に、食料品の価格上昇率は10%を超えている。日用品の上昇率も高い。政府は電気・ガス料金の補助や、ガソリン価格の上限を175円に抑える策も導入したが、今のところ、物価上昇の勢いを止めるほどの効果は出ていない。
物価上昇の背景には、夏場の気温上昇で豚肉の生産量が減少し、価格上昇圧力がかかったという個別の要因に加えて、企業の人件費の上昇がある。
現在、世界的に人手不足の傾向が鮮明化している。事業規模の大小を問わず、賃金を上げないと必要な人員を維持することが難しくなっている。これからも人件費の上昇は続くとみられ、その上昇分が価格に転嫁される可能性は高い。物価上昇に、なかなか歯止めが掛かりにくいだろう。
実感は「3%上昇」どころではない
一方、トランプ関税政策により、世界的に企業のコスト負担が増加している。同氏の政策は予想不可能であり、これからもコストはかさむだろう。今後、中東などの地政学リスクや外国為替市場の動向次第で、再度、海外からの輸入物価が上昇する恐れもある。
足元で国内の景気停滞懸念が高まる中、物価が一段と上昇することも懸念される。私たちの生活は、さらに厳しくなると覚悟したほうがよいかもしれない。
総務省によると、4~6月期、全国レベルの消費者物価指数(総合)は3%台前半から半ばで推移した。政府の物価対策によって、一時的に上昇ペースが鈍することはあるものの、物価上昇圧力はかなり根強い。
特に、スーパーやコンビニで食料品を買う際に感じる物価上昇幅は、総務省発表の消費者物価の上昇率を上回っている。
その代表例は主食であるコメだ。