稲田朋美衆院議院(撮影/古寺雄大)
稲田朋美衆院議院(撮影/古寺雄大)

――性的少数者に対する理解を広めるための「LGBT理解増進法」に賛成されたことで、「自民党らしくない」という批判も受けました。

 大変でしたよ。つらい思いをたくさんしましたし、誤解されたり、強いバッシングや落選運動を受けたりと、あらゆることをされました。これが男性だったらここまでされたかなとは思います。女性だから目立つというのもあり、「ここぞ」とばかりたたき潰そうという勢力がいます。

「型にはまるつもりはない」

――中道派やタカ派などを内包する政党だった自民党が変質したことで、稲田さんの意見が「自民党らしくない」「リベラル」としてバッシングを受けるようになったようにも感じます。

 国民政党であるべき自民党は、幅広い意見を包括し、寛容で温かい政党でした。違う意見にも耳を傾け、党内で政策が違っても人格否定まではしませんでした。しかし今は、異なる意見の持ち主を排除したり、「もっと右に行かなきゃ岩盤支持層を失う」といった方向に傾いたりで、らしさを失っている気がします。今年11月に結党70年を迎える自民党とは何者で、何を守り、何を変え、保守政党としてどうあるべきか……。良識を取り戻さなければ、極端な主張を掲げる政党に票はどんどん流れていくと感じます。

――男性政治家が古い保守思想を強く打ち出すよりも、女性の保守政治家を登用し、「女性も言っているからよいのでは?」と世間に旧来の価値観を訴える戦術があります。しかし、選択的夫婦別姓といった課題では価値観が一致しない。女性の保守政治家としてどう考えますか?

 私はブレていません。選択的夫婦別姓についても、家族のファミリーネームや戸籍を守る立場です。ただ、95%の女性が姓を変えている現状は平等とはいえません。旧姓を通称ではなく法的に使えるようにし、単記でパスポートのICチップにも登録できるようにすべきだと訴えてきました。私は安倍元首相に見いだされた保守政治家として、歴史認識や憲法改正などに取り組んできました。そのことと、困っている人や不公平に扱われている人を救うことは矛盾しません。一方で、強い批判を受けます。極端に走れば拍手喝采を浴びるかもしれませんが、それは政治家としてどうなのでしょうか……? 私は型にはまるつもりはありません。

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