
年齢を重ねるほどに、ふとした瞬間に他人と自分を比べてしまう――「私だけ老けて見えるのでは?」「あの人の方が若々しいのでは?」。そんな不安を抱える人も多いのではないでしょうか。けれども、「老い」はその人の生き方そのものがにじみ出るもの。他人の物差しではなく、「昨日の自分」と比べながら、心地よく年を重ねていくことが何より大切だと、アグネス・チャンさん(70)は語ります。アグネスさんの新刊『ひなげしはなぜ枯れない 心も体もしなやかでいるための45のヒント』から一部抜粋・編集してお届けします。
【写真】70歳になったアグネス・チャンさんが語る「老い」との向き合い方
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人はいつになっても他人と自分を比べてしまいがちです。「あの人、同じ年なのに若々しい」「あの人みたいに私はなれないかも」といった不安や落胆は、年齢に敏感な時期ほど、ふと心に忍び込んできます。
でも、人によって老いの速度は違うのだから、他人と比べる必要なんてまったくありません。

外見をキープするのをがんばっていますが…
例えば、自分より10歳年上の人を見て「私も将来こうなるのか」とがっかりしたり、逆に10歳年上なのに自分より若々しく見えて、落ち込んでしまったり。そんな経験、誰しもあると思います。
でも、そうやって落ち込む必要はないのです。それぞれの人生が、それぞれの「老い方」をつくるのですから。
私の場合、外見をキープするのをがんばっていますが、それは「仕事だから」。外見を気にせずにいられる立場だったら、きっと今頃もっとふくよかに育っていたと思います。
大好きな花を育てる造園家になっていたら、真っ黒に日焼けしていたかもしれないし、山奥の保育園で、子どもたちと泥だらけになって遊ぶ毎日だったら、身なりなんて二の次だったかもしれません。