武見敬三氏
武見敬三氏

 厚生労働相を務めた武見敬三氏は、この参院選で政界を去った。東京都中央区新富のこれまで倉庫代わりに使っていたという事務所を訪ねると、書棚に20~30箱ほどの段ボール箱が積まれ、1、2、3などと番号が振られていた。

石破おろしで、批判や不満は拡大?

「議員会館を撤収するところまでマスコミが来て、邪魔だったね(笑)。段ボールは議員会館からこっちに移してきたもので、まだ、開けてない。これから全部、本を並べ直して、書棚もキチンと使えるようにするつもりです」

 23年9月から厚生労働相も務めた武見氏は、32人が出馬した東京選挙区(7議席)に自民党から立候補し、35万余の得票。参院議員6期目をめざしたが、10位に終わった。

「政治家としての私の役割は終わりました。でも、自分なりに政治の世界で培った経験や政策についての理解を、社会の役に立つように仕事は継続したいと思っています」

 選挙の応援には石破首相も白いスーツで駆け付けたという。その石破首相に対し、党内で退陣を求める声が強まっている。

「一度、総理総裁になった人をクビにするのは、ものすごく難しい。1975年から76年の『三木おろし』のときは、自民党がものすごく痛手を被り、総選挙で過半数を取れなかった。国民が納得できるような受け皿をちゃんと作りながらやらないと、自民党に対する批判や不満というのはむしろ広がるでしょう」

 石破首相はこのまま粘って続投すべきかと問うと、「それはわからない。誰がなろうとも、与党が過半数割れしている現在、新たな連立の枠組みとして、保守合同は必至だと思う」と答え、ポスト石破についてこう話した。

「名前やイメージで決めるべきではない。総理の仕事というのは現在、外交、安全保障、憲法改正にとどまらず、少子高齢化社会の中での持続可能な経済成長の在り方の模索など多岐にわたる。政局の手練手管だけで、総理を選ぶというような単純な状況ではないはずです」

(AERA編集部・上田耕司)

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