
8月3日に逮捕されたのは、警部補で現場責任者だった時長力容疑者と、巡査部長の阪口裕介容疑者。特別公務員暴行陵虐罪は、検察官や警察官など、一定の公職に就いている者が、容疑者や被告などに暴行を加えたとされる場合に問われる。
府警は、家宅捜索と男性3人の逮捕に違法捜査の疑いが生じたため全員を釈放するといった対応を進めているという。
なぜこうした事態になったのか。府警捜査4課に在籍したOBが解説する。
「私が現役のころから『ナチュラル』は、警察でも注目されていた。『ナチュラル』関連の事件は、全国に拡大しており警察同士では『手柄争い』のような状況になっている。捜査4課がやっているので、暴力団相手と同じように手荒な捜査になってしまったようだ。SNSでも山口組は菱の代紋、府警は桜の代紋とか書かれて揶揄されているが正直、半分は当たっている。それくらい厳しくやらないとなめられると、先輩から叩き込まれていた。『ナチュラル』のトップは、暴力団関係者とみられるが、末端は素性や本名を明かさず、トクリュウ独特の組織なので素人ばかり。ゆえに、警官の暴行が表に出たんじゃないか」
府警捜査4課といえば、暴力団事務所への家宅捜索の際に事務所外で「はよ開けろや!アホ」「大阪じゃ、ボケ、コラ!」といった乱暴な言動をする様子がYouTubeなどで複数、アップされている。「これは組事務所に入るときの様子で、室内では、言うことを聞かないと殴る蹴るは、ようあった」と明かす。
このOBに以前、逮捕されたことがあるという元暴力団員は恐怖を語る。
「府警の(捜査)4課は日本一、怖いとされている。自供しないと暴行なんて当たり前。かなり昔の話ですが、警察署の横にある柔道・剣道の道場に『運動』と言われて連れて行かれて、柔道技で締め上げられ、殺されるかと感じたこともある。大阪で事件を起こして逮捕状が出たときには、ほかの県に行って、別事件をやって逮捕されるようにした。なぜ暴行を申告しなかった? ヤクザなのでそんなことしたら、さらにほかの事件が立件されたり、組幹部まで捕まってしまったりで、親分に迷惑がかかる。そこがヤクザの事件とは違う」