雑誌「ソトコト」の現編集長による地域論だ。「ロハス」という言葉を世に広めたことで知られる同誌だが、著者は3・11以降地方に足を運ぶ若者の存在に一貫して着目、雑誌の方針を転換させた。

 本書には、人口減少や過疎化に悩む地域を盛り上げる若者たちが登場する。例えば、新潟県十日町市の限界集落(人口の半数以上を65歳以上が占める集落)を消滅の危機から守った38歳の男性。大学卒業後はコンサルティング企業で仕事に邁進していたが、リーマン・ショックを機に経済への見方が変化し、移住を決意。現地では住民と共にワークショップを開催、建物の改修や地元産食品の加工販売などを次々と実現させた。生身で里山の自然や人々とぶつかってゆく姿がまぶしい。これからの暮らしや仕事のありかたを再考せずにいられない書。 

週刊朝日 2017年2月17日号