これも時代の変化、開星・野々村監督の言動に好意的な意見が集まっている
これも時代の変化、開星・野々村監督の言動に好意的な意見が集まっている
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 開星(島根)・野々村直通監督(73)が甲子園に帰ってきた。かつては“正直過ぎる発言”のせいで、世間から強烈なバッシングを受けた。今回も正直な言動に終始しているが、なぜか周囲からの反応は温かいものに溢れている。

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「(次戦の相手は)大横綱ですから。うちは、“ふんどし担ぎ”でみんなで一生懸命やってきたので、全ての力を出し切って“玉砕”してくれたら良いと思います。大横綱ですから」(試合後の野々村監督)

 相変わらずの“野々村節”が甲子園のバックステージに響いた。

 8月6日の1回戦では、宮崎商(宮崎)を延長10回タイブレークの末に撃破。次戦で当たる仙台育英(宮城)について尋ねられ、切れ味鋭くそう答えた。

「とにかく嬉しそうでしたね。感情を隠すことなく、正直に話してくれるので取材をしやすい監督。今回も本音を語っているようだった。『玉砕覚悟の戦いがどこまで通用するのか?』を楽しみにしている関係者は多い」(中国地方のテレビ局関係者)

「ふんどし担ぎ」とは、最も下っ端や半人前の人を指す。「玉砕」とは、大義や名誉のために潔く散ること。「格上の仙台育英に正々堂々と戦う」ことを野々村流で宣言した形だった。

「末代までの恥。腹を切って死にたい」

 2010年春のセンバツ、21世紀枠の相手に負けた際の発言が大きく取り上げられた。また、組み合わせ抽選会などの“公”の場所へ、羽織はかまや派手なスーツで登場することでも話題になった。

「全ての言動に他意はなく、相手校を蔑む気持ちもない。裏表がなく、警戒心を抱かず何でも語ってくれる。誰がいるかわからないので、こちらが心配するほど(笑)」(高校野球に詳しいスポーツライター)

 世間からは『ヤクザ監督』と呼ばれたが、周囲からは愛され続けた。2011年夏に監督退任、翌12年3月で同校を定年退職したが、復帰待望論が日増しに高まった。結果2020年に監督復帰、今大会が久しぶりの甲子園出場となった。

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