写真:gettyimages
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 提携戦略が活発なポイント経済圏の勢力争い。ここ最近の“台風の目”のような存在となっているのはSBIホールディングス(HD)かもしれない。交換可能な主な他社ポイントの一覧とともに「ポイ活」の最新の勢力地図を整理してみた。

【一目でわかる】5大ポイントはいずれも他社ポイントと交換が可能!

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「ポイ活」でまず知っておくべきは5大ポイント経済圏だ。dポイントが貯まるNTTドコモ陣営、Pontaポイントが貯まるau陣営、PayPayポイントが貯まるPayPay(ソフトバンク)陣営。Vポイントが貯まる三井住友カード陣営、楽天ポイントが貯まる楽天陣営のことを意味する。自分が契約している携帯電話会社が属する経済圏など、特定の陣営にターゲットを絞って“ポイ活”を行えば、付与率がアップする特典が用意されているケースも多いので、より効率的に貯めることが可能だ。

 回答者の90%超が実践していたとの調査結果も散見されるほど“ポイ活”がポピュラーになっているだけに、それぞれの経済圏はユーザーの囲い込み競争に力を注いでいる。提携やM&A(企業買収)などによって、弱かった部分や足りなかった部分の補強に動いているのだ。どの陣営がいずれと手を組むのか、いずれを傘下に収めるのかによって、ポイント経済圏の勢力地図が大きく変化する可能性が十分に考えられる。そういった動きの中で“台風の目”のような存在となってくるのは、会長兼社長の北尾吉孝さん率いるSBIHDかもしれない。

 SBIHDにとって住信SBIネット銀行売却は“渡りに船”だった?

  時代の流れとともに知らない人が増えているだろうが、もともとSBIはソフトバンク・インベストメントの略称だった。現在はストラテジック・ビジネス・イノベーターの略称としているが、出発点はソフトバンクの金融部門であり、2005年に同グループから独立するまで、北尾さんは孫正義社長の右腕のような存在だった。NTTドコモへの住信SBIネット銀行売却においても、強気の交渉で親会社のNTTからSBIHDによる第三者割当増資の引き受け(約1108億円)という前提条件を勝ち取ったと言われている。

 ただ、住信SBIネット銀行はネット銀行で楽天銀行に次ぐ預金残高を誇っており、法人取引にも強いことで知られている。なぜ、SBIHDはあっさり手放したのだろうか? 事業構想大学院大学の特任教授でマリブジャパン代表取締役の高橋克英さんはこう説明する。

「住信SBIネット銀行という名称ですが、実はすでにSBIHDの連結子会社ではありませんでした。同行が2023年3月に東京株式市場に上場したことで、NTTドコモとの買収交渉に臨む時点で出資比率は34.18%に下がっており、持分法適用会社となっていました。一方で、 SBIグループはSBI新生銀行を連結子会社化しており、グループ内に2つも銀行が必要なかったのが実情です。そういった意味では、SBIHDにとっても、まさに“渡りに船”とも言える買収話だったわけです」

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