「自分が子どもの頃と比べて、海外への憧れや世界に出ていきたいという希望を持つ人が減ってきているような感覚は確かにあります。円安も進み、海外旅行をする金銭的な余裕も減ってきているのかなと思いました」
コロナ禍を機にパスポートを更新していない人や、今後は更新しないつもりという人も目立った。コロナ禍前まで年1~2回海外旅行に出かけていたという京都府の大学事務職員の女性(41)は「コロナ禍明けにパスポートの有効期限が切れていることに気が付きましたが、海外旅行はもういいかな、と思っています。円安の影響で魅力も感じないし、海外に行って値段を気にして行動するぐらいなら国内でぜいたくしたほうが魅力に感じます」と吐露。宮城県のパート女性(49)は「パスポートを更新する際、発行までの期間が長いと感じます。発行される場所まで行くのも手間ですし、海外旅行に行く予定がなければ持っていなくても差し支えないものなので、もうすぐ有効期限が切れますが、更新する予定もありません」と明かした。
ほかに、有効なパスポートを保有していない人からはこんな意見があった。
「良くも悪くも持たなくても支障がない国ということだと思う。普通に生きる分には行かなくてもキャリアに影響があるわけでもなく、仕事で行く人を除けば、経済的に余裕のある人が行きたければ行くというイメージしかありません」(東京都の接客業の40代女性)、「運転免許を持たないので以前は身分証明のためとも思い保有していましたが、今は円安や物価高で海外に行く機会がなくなったことに加え、マイナンバーカードの普及で身分証明書としての価値が低くなったことも大きいと思います」(東京都の大学教員の50代女性)。
これまで一度もパスポートを保有してこなかったという大阪府のシステムエンジニアの男性(39)は、その理由について「海外旅行に行けるほどの長期休暇を連続取得できないことに尽きます。それなりにまとまった休暇が取得できるのは年末年始やゴールデンウィークぐらいですが、その時期は日本発の旅行費用が高騰するので費用面でも海外旅行に行くことは不可能です」と説明。「海外旅行よりも国内旅行を推進して国内で経済を回すほうが経済的にも良いのでは」との認識を示した。