特筆すべき柳原可奈子
このシステムのおかげで、長い尺には向いていないタイプのネタを得意とする芸人にも光が当たるようになった。たとえば、一発ギャグ的なネタ、ものまねネタ、キャラクター先行型のネタなどだ。長い尺では通用しないような種類のネタも、短い尺であれば効果的に笑いを生むことができた。中でも、最初の特番で柳原可奈子が「カリスマショップ店員」のネタを披露したときのインパクトは特筆に値する。彼女を先駆けとして、この番組から毎週のように次々とスターが生まれていった。
もう1つの大きな特徴は「笑いを評価しない」という点である。建前上はゲスト審査員による「大笑」「中笑」などの評価がつけられていたが、その審査には実質的な意味はほとんどなかった。どんなネタにも厳しい評価が下されることなく、すぐに次のネタに移っていく。視聴者の側も「これは面白くないのでは」といった判断を挟む暇がなく、一定のテンションを保ったまま、次々とネタを味わうことができた。そのことによって視聴者が気楽に楽しめる空気が生まれ、芸人にとっても「失敗しても傷つかない安心感」が得られた。
世界観を作った司会・今田耕司
この番組の世界観を作っていたのが、司会の今田耕司である。今田はこの番組で、ただの進行役ではなく、視聴者に「ネタを見る視点」を提供する解説者としての役割を担っていた。短くてわかりづらいネタや、瞬発的すぎる笑いに対しても、その魅力を言語化して、補足情報を加えて、観客や視聴者に「このネタの面白さはここなんだよ」とそっと伝えていた。見る側の不安や物足りなさを解消し、お笑いの楽しみ方をガイドするナビゲーターだった。
今はYouTubeやTikTokでも短い尺の「ショート動画」が主流になっている。『爆笑レッドカーペット』から始まったショートネタブームは、その流れを先取りしていたとも言える。復活を果たす『爆笑レッドカーペット』は、今の時代にフィットしたネタ番組としてフジテレビ再生の起爆剤になるかもしれない。(お笑い評論家・ラリー遠田)
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