AERA 2023年4月24日号
AERA 2023年4月24日号

――米国で俳優として現場を経験し、その後、日本でキャリアを積んだうえで、再び海外の作品に臨んだ。日本で同世代の俳優たちと研鑽(けんさん)を積み、さまざまなアクションに挑み、多くの役柄を演じてきたことが、いまにつながっているのではないか。そう尋ねると、大きく頷いた。

■すべての経験が生きた

新田:本当に、それはよく感じていることです。日本で積んできたすべての経験がこの作品のためにあったのではないかと思うほど、一つ一つの作品を通して得たものが大きかったです。

「聖闘士星矢 The Beginning」の撮影に入る前、映画「ちはやふる」(2016年)に出演することになった自分を思い出しました。その頃と比べると、50本近い作品を経験していましたし、そのうえでの挑戦だったので、少しばかりは自信もついていました。野球で言えば、いままではセ・リーグ、パ・リーグという括りのなかでやってきたけれど、メジャーリーグに行き、広い世界を相手にやっていけるのかという局面に立った。そんな感覚に近いと思います。

――芝居を始めた頃と現在で、変わったところはあるだろうか。

新田:「自信」があるかないか、だと思います。いや、自信じゃないな、「経験」かな。

「聖闘士星矢 The Beginning」への出演は、ある種のゴールであり、言い方を変えればスタートラインでもあるので、ここからまたさらにさまざまな作品との出合いがあればいいなと思います。

 そして、目の前の役に真摯に向き合っていれば、自分が行き着くべきところにたどり着くのではないか、という思いもあるので、「焦り」はなくなりました。

 若い人なら経験があると思いますが、なぜか理由はわからないけれど、焦る必要もないのに焦ってしまう。そんなふうに焦って生きている時期が自分にもあったのですが、そうした焦りから解放され、どこかおじいちゃんのようになりました(笑)。

 この作品には全エネルギーを注いだので、また次のためにチャージしていきたいですね。僕にとってのチャージとは、ダラダラすること。「超人」になるのはまた今度、という感じです。

■身を削りながらやる

――役には全精力を注ぎ、終われば一気にオフモードになるのだという。

新田:(「聖闘士星矢 The Beginning」の撮影場所の一つである)ブダペストに入ったのは、撮影が始まる1カ月ほど前。それ以前から体はつくっていて、ちょうどドラマ「イチケイのカラス」(21年)に出演している時期からすでに体はパンパンだったと思います。

 オンとオフははっきりしている方です。一つの作品に入っている時は、傍(はた)から見てもわかるくらい、身を削りながらやっていると思います。終わったらもう、飼い主のもとに戻るわんちゃんのようになります(笑)。

暮らしとモノ班 for promotion
【10%オフクーポン配布中】Amazonのファッションセールで今すぐ大活躍する夏のワンピやトップスを手に入れよう!
次のページ