
物価高や円安、金利など、刻々と変わる私たちの経済環境。この連載では、お金に縛られすぎず、日々の暮らしの“味方”になれるような、経済の新たな“見方”を示します。 AERA 2025年8月4日号より。





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猛暑の3連休、誰も考えることは同じなのだろう。冷房の利いたショッピングモールは混雑していた。フードコートで席を探すが、なかなか見つからない。
一見、席の3割くらいが空いているように見えるが、バッグや日傘などが置かれていて誰かが席を確保しているようだ。しばらくすると、ラーメンやスープカレーをのせたトレーを手にした人が現れて席は埋まっていくのだが、一部の席は帽子が置かれたままで、ずっと空いている。買い物中の「席取り」だとすれば迷惑な話だ。東京という過密地域で空間は貴重であり、譲り合い、有効に使う必要がある。
東京のマンションでも似たようなことが起きているようだ。千代田区が区内の新築マンションの居住実態を調査したところ、全戸完売にもかかわらず半数以上が空室という事例があったという。原因として、短期的な転売を目的とした購入が増えているそうだ。
千代田区では、不動産協会に投機目的の取引防止を要請している。再開発事業で販売する新築マンションについては、購入後5年間は転売できない特約を設けたり、同一名義で複数購入することを禁じたりするよう求めている。マンションの売買価格だけでなく、賃貸マンションの価格も高すぎるという苦情が寄せられているという。