オレンジ色の服を着た参政党のスタッフ(撮影:写真映像部・松永卓也)
オレンジ色の服を着た参政党のスタッフ(撮影:写真映像部・松永卓也)

演説会で会った旧統一教会の元信者

 参政党といえば、一定の宗教団体などがバックにいるのではないかと言われたことがある。参政党はホームページで、

「党員にも多くのメンバーがいますから、宗教団体や日本会議に所属している方(していた方)はいると思います。しかし、政党としてそういった団体の支援を受けているということは一切ありません」

 と説明している。

 記者は、参政党のために働いている宗教団体関係者から話を聞くことができた。

 猛暑の大阪で、参政党の候補者が演説しているときだった。ふと目が合った人がいた。どこかで会ったのだが、誰だか思い出せないでいると、先方から、

「お久しぶりです」

 とあいさつしてくれた。それがBさんだった。

 3年前の夏、安倍晋三元首相が奈良県で殺害され、現行犯で逮捕された山上哲也容疑者が、動機として口にしたのが、容疑者の母親が入信していた宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)への恨みだった。記者は以前から旧統一教会の取材をしていたので、その伝手で話を聞いた当時の現役信者が、Bさんだ。

 安倍元首相の事件後、旧統一教会の霊感商法や強制的な献金などを理由に国が宗教法人の解散を請求。今年3月、東京地裁は旧統一教会に解散を命じた。旧統一教会は即時抗告し、まだ確定はしていない。

 旧統一教会は長い歴史の中で、自民党を一貫して応援してきた。だが、解散命令を受けて石破茂首相は、「すでに一切の関係を断っている」と述べ、今後、旧統一教会との関係を持つ議員がいれば「厳正な処分」をするとも国会で答弁している。

 Bさんは3年前の安倍元首相の事件直後には、

「自民党を応援するように組織的に求められている。選挙は自民党が旧統一教会では当たり前になっている」

 と話していた。それがなぜ、参政党の支援に来ているのか。

 Bさんはこう説明した。

「今は旧統一教会から離れた。改めて、旧統一教会時代と同じように自民党支援でいいのか考えた。旧統一教会の恩も忘れて批判する自民党に腹が立ったこともあるが、このままの政治ではだめだと思った。そんなとき旧統一教会の信者から、明確に保守を表明し、国民目線の政治という参政党があると聞かされ、応援することにした。演説会には何度も言っている。私の親戚も旧統一教会から脱会し、参政党のボランティアでビラ配りなどをやっている。参政党から、特に旧統一教会にいたかなどと聞かれることはない。旧統一教会が自民党から参政党に乗り換えたというネット情報を見たが、組織的にそういうことはないと思う。ただ、政治に関心が高くて自民党を応援できなくなった人が、保守の参政党を応援するというのはけっこうあると思う」

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