先発で台頭した日本ハム・達(日刊スポーツ)
先発で台頭した日本ハム・達(日刊スポーツ)
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 パ・リーグ首位で後半戦のスタートを切る日本ハム。強さの秘訣が充実した先発陣だ。伊藤大海、山崎福也、加藤貴之、金村尚真、北山亘基に加え、21歳右腕の達孝太、23歳左腕の細野晴希が先発で台頭。21歳右腕の柳川大晟が守護神を務めている。7月26日には昨年のドラフト1位、19歳の柴田獅子も1軍マウンドにデビューする。そんな中で、育成能力の高さが評判の指導者が、金子千尋2軍投手コーチだ。

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「計測機器で出された数字を参考にしながら、個々の投手の特徴に合わせた指導に長けています。例えば細野は今年3月に金子コーチが助言を送ったカットボールが打者を仕留める有効な球種になっています。若手だけでなく、40歳左腕の宮西尚生はチェンジアップの投げ方で助言を与えたことで精度が上がり、投球の幅が広がっている。日本ハムが首位を快走する陰の原動力といってよいでしょう」(日本ハムを取材するフリーライター)

 各球団が科学機器を次々に導入し、投手を取り巻く環境は10年ほど前から激変した。動作や投球の解析技術が進歩することで、指導者に求められる能力も変化してくる。

「過去の自分の経験に基づく指導だけでは選手が耳を傾けない時代です。ラプソード(弾道測定分析機器)を使用して、投球の球速、回転数、回転軸、変化量などが計測できますが、様々なデータを基に投手の能力をどう伸ばすか。投手ならではの感覚を共有できなければ、指導が難しい。投手コーチの役割は非常に重要です」(スポーツ紙デスク)

 金子コーチは現役時代に、オリックスのエースとして活躍した印象が強い。多彩な変化球を操り、2010年に17勝で最多勝、13年には最多奪三振のタイトルを獲得。14年には16勝5敗、防御率1.98で最多勝、最優秀防御率に加え、沢村賞とMVPも受賞している。18年オフにオリックスを自由契約になると日本ハムに入団して4年間プレーし、通算130勝をマーク。22年限りで引退後、23年から日本ハムのコーチに就任した。

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