選手と握手する阪神・岡田彰布監督
選手と握手する阪神・岡田彰布監督
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 セ・リーグは阪神が2位・DeNAに9.5ゲーム差の53勝35敗で前半戦を首位ターン。後半戦もこのペースで勝利を重ねていけば、藤川球児監督就任1年目のVも濃厚だが、よく言われるように、勝負は下駄を履くまでわからない。過去にも前半戦を首位で折り返しながら、後半戦で急失速に泣いたチームが存在した。

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 まず、セ・リーグ史上最大の13ゲーム差をひっくり返されたのが、2008年の阪神だ。

 3年ぶりV奪回を狙う岡田阪神は、開幕5連勝と好スタートを切ると、交流戦中の6月にも6連勝を記録し、59試合目で40勝に到達。さらに7月8日の巨人戦にも勝って、シーズン初の7連勝で、クライマックスシリーズ進出マジック「55」を点灯させた。この時点で2位・中日を12.5ゲーム差、3位・巨人を13ゲーム差と大きく引き離し、同22日には優勝マジック「46」も点灯した。

 そして、7月29日のヤクルト戦も4対3で勝利。2位・巨人に9.5ゲーム差の60勝32敗1分で前半戦を折り返した。この時点では、誰もが阪神の優勝を確信し、日刊スポーツ出版社から『Vやねん!タイガース』と題した“優勝目前号”の発売も決定。筆者もライターとして参加した。

 だが、8月3日に後半戦が幕を開けると、阪神は新井貴浩ら北京五輪組が抜けた影響から最初の10試合を2勝8敗と大きく負け越すなど、月間成績も9勝11敗と初めて負け越した。

 それでも当時は「何とか逃げ切るだろう」の予測が大半で、前出の『Vやねん!』も9月3日に発売された。実際、阪神は同11日の時点でも巨人に6ゲーム差をつけ、“黄信号”と懸念するほどではなかった。

 ところが、ここからまさかの大どんでん返しが発動する。阪神が勝率5割ペースでもたつく間に、巨人が怒涛の12連勝で猛追。9月21日には同率首位に並ばれた。

 そして、直接対決で6連敗中の阪神は、10月8日の天王山対決でも巨人に1対3で敗れ、ついに首位転落。2日後に巨人の大逆転Vが決まる。“歴史的V逸”の直後、「もうこうなりゃヤケだ!」と『Vやねん!』を買ったファンもいたらしい。

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