タイ
タイの場合は、10年滞在可能な投資家ビザ「LTRビザ」を取得していれば、海外源泉所得が非課税なので、国外の収入の所得税はゼロになる。
生活費もシンガポールやドバイと比べても安価なため、圧倒的な競争力を持つといえるだろう。
LTRビザは、富裕層向けのコースもあるが、タイを拠点に海外の有力企業で働くリモートワーカーが申請できるコースもある。収入要件は8万米ドル(約1200万円)以上で、そして直近3年間で1.5億米ドル(約220億円)を売り上げた上場企業に5年以上雇用されている証明書を出さなければならない。
ただ、収入要件は満たしても、スモールビジネスに関わる人の場合はLTRビザを適用できない。
それなら、「デジタルノマドビザ(DTV)」が選択肢に入る。デジタルノマドビザは、コロナ禍をきっかけに各国に広がった、国外の企業に勤めてリモートワークをしながら海外生活を送れる新しいビザだ。
だが、海外所得は通常通り課税対象なので、節税のメリットは薄い。ただ、申請料金はなんと5万円程度で済む。有効期限は5年間で、1回入国するたび180日滞在できる。
タイと日本の時差は2時間。リモート勤務との相性がいい。
シンガポール
ハイレベルな住環境で、日本との時差1時間のシンガポールにも、手ごろなビザはある。
法人設立ビザ「EPビザ」だ。2年間滞在ののち、更新時に最大3年延長できる。
「シンガポールで法人を作り、自分を雇用する就労ビザです。日本の事業をアジア展開するなどの可能性があります」
学歴や年齢で異なるが、経営者なので年収12万シンガポールドル(約1400万円)以上の証明はほしいところだ。配偶者や21歳以下の子どもも滞在できる。
「ただ、税金が安くなってもビジネスがしにくくなったり、コストが上がったりするので、海外移住が一概に良いとは言えません。本当に実行するときは家族と専門家にじっくりと相談することをおすすめします」
(AERA編集部 井上有紀子)
こちらの記事もおすすめ 海外大学へ進学か それとも日本の大学の帰国子女枠か… 子どものために海外へ 教育移住におすすめの国7選