「日本奪還」を掲げたTシャツ姿の参政党のスタッフ
「日本奪還」を掲げたTシャツ姿の参政党のスタッフ

熱気を失った維新、熱気を感じる参政

 大阪で2議席確保を続けてきた維新にとっては、1議席を失うおそれが出てきている。

「改革政党、日本維新の会、大阪でやってきた改革を、日本で、岡崎さん、佐々木さんにもやってもらう」

 維新代表の吉村洋文・大阪府知事は、佐々木、岡崎両候補の応援に立ち、2人当選を訴えている。しかし、周囲の反応はイマイチ。かつて吉村氏の演説に熱狂していたような空気感はなく、ビラをまいても受け取る人は多くない。

 一方、維新の牙城を崩そうとしている参政党の宮出氏。ツーショットで街頭演説に立つのは6年前の参院選では大阪選挙区から維新公認で出馬し、約73万票を獲得してトップ当選した梅村みずほ氏。今回は参政党に移籍し、比例区から出馬している。2人でスローガンの「日本人ファースト」を訴え、街頭に立つスタッフのオレンジTシャツも「日本奪還」の文字。宮出氏がマイクを握ると、大勢の人が立ち止まり、反応は抜群だ。

「参政党が(大阪選挙区で)大丈夫だという報道があり、わぁーってなってますが、全然、大丈夫じゃない。参政党とともに日本を守っていきましょう」

 宮出氏が語るたびに大きな拍手がわく。勢いがよかったころの維新の選挙とよく似た熱気を感じた。
与党の自民の柳本氏、公明の杉氏は、なんとか議席を守りたいところだが、自民府議は、つらそうにこう話した。

「これまで大阪では、無党派層の半分以上は維新にもっていかれて苦戦していた。しかし、今回は参政党が半分どころか6割、7割の無党派層をとりそうだ。大阪は改選数が4なので、自公で2議席は絶対なのですが……。正直、連立を組む公明党を気遣う余裕もない」

 公明党関係者も、こう話す。

「出口調査は組織があるうち(公明)が一番強くて当たり前なのに、ほとんど差がない。参政党にここまで肉薄されるとは、全く想定していなかった。展開によれば最後の4番目の議席をうちと自民党で争う、信じがたい選挙になりかねません」

 自公の与党同志で議席を奪い合う展開に、やりきれなさそうな表情だった。

(AERA編集部・今西憲之)

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 大阪選挙区ではこのほか、れいわ新選組の椛田健吾氏、日本保守党の正木真希氏、NHK党の武内隆氏、諸派の稲垣秀哉氏、諸派の橋口和矢氏、諸派の上妻敬二氏、諸派の吉野純子氏、諸派の平理沙子氏、諸派の瀬戸弘幸氏、無所属の東修平氏が立候補している。

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