
知らず知らず男尊女卑の考え方に染まっていた
「結婚」制度に抗いたかった私も、いざ結婚生活を始めてみると「男性である夫のキャリアを優先させなくては」と思ってしまっていました。「夫をサポートする妻」にはならないつもりだったのに、それまで生きてきた中で知らず知らず身につけてしまった男尊女卑の考え方に自分も染まっていたんです。
子どもができてからは基本的には私が息子を見ていて、夜泣きに対応するのも100%私でした。そもそも彼は家にいることが少なかったけれど、「彼は飲み会に行くのも仕事の一環」と思うようにしていた。本来は、私だって人との関係性を作るために外に出るのは大事なはずなのに。
一緒に暮らしているのに、私だけが子育てに最適化されていく。周りの家庭も同じような感じだから「しょうがない」と思ってしまう。彼の問題というより、彼がいるコミュニティーや社会の課題だとすると、どこから手をつけていいかわからない。そもそも子育てで疲れているのに、とてつもなく大きなものと闘わなきゃいけない。発散できないストレスをずっと感じていましたね。

相手の顔色をうかがう生活から解放された
22年に事実婚を解消したことで相手の顔色をうかがう生活から解放されて、人生を考える時の単位が「自分はどうしたいか」になりました。解き放たれた部分もあるけれどそうではない部分もあります。私は毎日息子の世話をして、習い事のために仕事を早く切り上げて迎えに行ったりもする。でも彼は日曜日に機嫌の良い状態の息子と数時間遊ぶだけで「良いパパですね」と言われる。私ももっと仕事をしたいし、夜に外出したいけど「母親が子どもを置いて出かけるなんて」と批判されます。男性は常に加点されるのに対し、女性は「減点してやるぞ」という社会の目に監視されている感じ。「女性税」をずっと払い続けている感覚があります。
保育園に通う息子が最近「俺は男だから青がいい」と言っていて、はっとしました。たぶんどこかで「男の子は青、女の子はピンク」という価値観をもらってきたのだと思う。社会の無意識のメッセージに触れるのはどうしようもないので、「そうじゃない価値観もあるよね」ということを丁寧に伝えていくしかないと思っています。
彼が息子の父親ということには変わりないので、今も3人での交流を続けています。その様子をSNSなどに投稿すると「勇気をもらった」との声もたくさんもらいます。離婚しても相手との縁が完全に切れるわけではないと知り、離婚に踏み切れた、と友達から言われたこともありました。離婚=子どもがかわいそう、という批判が世の中にはまだ多くあるので、様々な家族の形があることを今後も発信していこうと思います。
(構成 フリーランス記者・山本奈朱香)
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