
東京商工リサーチは、2025年3月期の有価証券報告書を提出した上場企業2326社(6月30日までに株主総会を終えた企業)を対象に調査を実施した。





その結果、役員報酬が1億円以上と開示された企業は357社、対象となった役員は880人にのぼった。いずれも前年の社数(336社)および人数(818人)を上回り、過去最多のペースとなっているという。
リサーチを担当した東京商工リサーチの坂田芳博氏は、次のように語る。
「大手企業を中心に業績が好転しています。日本全体の景気が上向いているというよりも、大手企業の業績回復が中小企業よりも早いという点が大きいと思います。その結果として、給与や役員報酬も伸びていると考えられます」
株式報酬
前年に引き続き、役員報酬の最高額を受け取ったのは、ソフトバンクグループの取締役であり、傘下のイギリス半導体設計企業アーム社のCEOを務めるレネ・ハース氏。報酬額は49億400万円(前年は34億5800万円)にのぼった。このうち、株式報酬が41億6400万円を占めている。
「役員報酬の高額化の背景には、基本給や賞与に加えて株式報酬が支給される点が挙げられます。株価の上昇は報酬額を押し上げる大きな要因です。株価が上がれば保有する株式の価値も上昇し、役員のみならず一般の株主にとっても資産価値が高まります。売却によるキャピタルゲインが得られるほか、配当金の増額といったメリットも期待できるでしょう」(坂田氏、以下同)
ハース氏に次ぐ第2位は、ダイキン工業の井上礼之元会長で44億500万円(前年は4億8800万円)。第3位はソニーグループの吉田憲一郎会長で25億2400万円(同23億3900万円)だった。
役員報酬1億円以上の開示は、「改正企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、2010年3月期決算から、報酬等の総額および報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等)の内訳を有価証券報告書に記載することが義務づけられている。