このランキングには、ソフトバンクグループの孫正義氏は登場していない。「Forbes JAPAN」(リンクタイズ)による2025年版日本長者番付で、孫氏は2位にランクインし、推定資産額は4兆930億円とされている。

「孫会長兼社長の報酬は、過去最高でも3億円未満にとどまり、直近では1億円とされています。これは開示対象の下限には達しているものの、ランキング上位には入ってこない水準です。同氏の場合、主な収入源は役員報酬ではなく保有株式に対する配当金です。例えば、ソフトバンクグループの1株あたりの配当金に孫氏の保有株数をかけると、年間で約188億円の配当収入が見込まれます」

 今回のランキングは2024年4月から2025年3月期の役員報酬が対象となっているが、ダイキン工業の井上元会長のように、多額の功労金だけでなく、退職金が報酬に含まれるケースもある。

日立の人数が突出

 一方、2025年3月期に1億円以上の報酬を受け取った役員の個別開示を行った357社のうち、開示人数が最も多かったのは日立製作所の31人(前年34人)だった。2年連続で30人を超えている。次いで、三菱UFJフィナンシャル・グループが20人(前年14人)、伊藤忠商事が17人(同14人)と続き、10人以上を開示した企業は8社にのぼった。

 大手企業が並ぶなか、なぜ日立の人数が突出して多いのか。

「業績が堅調であることに加え、執行役の数が多く、一定のポジションに達すると報酬が保証される仕組みがあると考えられます。ただし、日立には1億円以上の報酬を得ている役員が31人いるものの、個別の報酬額ランキングで上位に名前が挙がるわけではありません。つまり、役職の階層や等級に応じて、あらかじめ報酬水準が設定されている可能性があるのです」

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