中国ジャイアントパンダ保護研究センターのパンダたち(中国ジャイアントパンダ保護研究センター/日本パンダ保護協会)
中国ジャイアントパンダ保護研究センターのパンダたち(中国ジャイアントパンダ保護研究センター/日本パンダ保護協会)

 第2期野生化訓練基地では、淘淘は以前よりかなり広い範囲で行動できるようになった。淘淘は、高さ30~40mのスギの木に登って遠くを眺める様子を見せるようになり、雪の降った後の晴れた日にはクルミの木に登って日光浴をしたりするのが最高の楽しみのように見えた。ある時、淘淘は木の上に20時間以上も居たこともある。

 2年間あまりの訓練を経て、2012年10月11日は淘淘にとって記念すべき日となった。淘淘が既に独立して自然環境で暮らせるようになったため、研究スタッフは現在の基地から400㎞も離れた自然保護区(四川省石棉県栗子坪自然保護区)に淘淘を野生復帰させることを決めた。新しい棲家だ。

 ここは名実ともに原生林であり、パンダが先祖代々生存し繁殖してきたエリアである。淘淘が自然という新しい家に溶け込んで、満足のいく暮らしを十分に堪能してくれることを祈っている。

(中国ジャイアントパンダ保護研究センター/翻訳:日本パンダ保護協会・馮革)

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