
小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA DIGITAL連載。今回は「女性だから〇〇すべき」という価値観を押し付けられたときの対応について、答えてもらった。
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Q. 30代独身女です。年配の方から「早く結婚してご両親に孫の顔を見せてあげなさいね」など、悪気なく言われると愛想笑いをして適当に流してしまいます。こうした言葉は男性にはあまりかけられない気がします。「女だから」というような場面に遭遇したとき、廣津留さんならどう対応しますか。
A. 悪気はないのでしょうが、考え方は世代によっても千差万別ですよね。ただ、反論しても埒が明かなさそうだし、相手の考え方を根本から変えることはなかなかできないので、私も流してしまうかも。流すにしても「そうですよね」と同調するような返し方はせず、「今はいろんな人がいますからね」など、その人とは違う価値観があることを言葉の端ににじませます。相手が「あ、いろんな人がいるんだ」と気づいてくれたらという期待を込めて。些細なことかもしれませんが、同じように嫌な思いをする人が少しでも減るといいなと願っています。
価値観が多様化してきた近年でも、「女性だから〇〇したほうがいい」といった性別的なものに限らず、固定観念の押し付けは残念ながらいまだに完全にはなくならないですよね。そういう場面にあったら、うまく流したうえで、なるべく忘れるようにしています。「異なる考え方の人もいるんだ、はい終わり!」って、気持ちを切り替える。自分だけで考えてもモヤモヤするので、日記に書いて吐き出しちゃうのもいいと思いますよ!