新図書館の建設中止を大きく掲げて市長選で当選した田久保氏(5月25日)
新図書館の建設中止を大きく掲げて市長選で当選した田久保氏(5月25日)

斎藤知事と同じような「怪文書」扱い

 田久保氏はもともと、伊東市の伊豆高原に韓国系企業が主体となって計画していた大規模太陽光発電施設(メガソーラー)に反対する市民団体の旗頭だった。県や国にも働きかけてメガソーラー施設計画工事をストップさせ、伊東市議に転じ、2期目の途中で市長選に立候補。「ハコモノ行政からの脱却」を掲げ、現職市長が進める大規模な新図書館建設計画に反対して支持を集め、市長へと駆け上がった。

「田久保市長はいわゆるSNSでの“承認欲求”が強い人で、かつ、策士ですね。5月の市長選時は、前市長との一騎打ちの構図に持ち込むため、3人目の候補になりそうな人に出馬しないよう交渉し、自民党の重鎮にも直談判したそうです」(Aさん)

 元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士はこう話す。

「選挙活動などで東洋大学卒業などと演説していれば別だが、田久保市長を公職選挙法などで刑事的な責任を問うのは難しいでしょう。それより、田久保市長の話を聞いていて、兵庫県の斎藤元彦知事との共通点を感じた。斎藤知事は内部告発を『うそ八百』と『怪文書』扱いし、被害者だと言わんばかりの主張を押し通して再選を果たした。田久保市長も学歴詐称を指摘する手紙を『怪文書』と主張していました。しかし、田久保氏自身が大学を卒業していないと認めたので、怪文書だと断言できるのか。法的には摘発されない可能性が高いので、田久保市長は『嫌疑は晴れた、伊東市を改革する』と斎藤知事と同じように再当選しようという作戦でしょう」

(AERA編集部・今西憲之)

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