金融ジャーナリストの岡村友哉〈ゆうや〉さん(写真・本人提供)
金融ジャーナリストの岡村友哉〈ゆうや〉さん(写真・本人提供)
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 2025年1月6日〜3月12日に新NISAで買われた日本株のベスト30。主要ネット証券5社それぞれの買い付け金額を本誌が独自集計している。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】

【ランキング表】新NISA最新3か月で買われた日本株ベスト30はこれだ!

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 今回は前回調査(2024年1〜8月)でトップだったNTTが2位に転落。

 代わって浮上したのが三菱商事である。

 株式アナリストの岡村友哉さんは、この背景に個人投資家の「逆張り」志向を読み取る。

 三菱商事は2024年5月に上場来高値3775円まで上昇したあと、2025年4月に2200円台まで値下がりした。

「商社株は日本株が見直される局面で中心となった銘柄です。今年1〜3月は商社株が弱すぎました。

 海外で稼ぐ商社は円安メリット銘柄で、円高が進み売られたところにNISAの買いが入った形でしょう。

 3月17日にウォーレン・バフェット氏の商社株買い増しが報じられ、持ち直しましたが」

 バフェット氏は4月に2025年末の引退を表明し、話題になった。

 ところで岡村さんのいう「逆張り志向」は国民性だろうか。

「日本の個人投資家に一番多い投資スタイルですね。私自身にも当てはまるのですが、最高値を追いかけて順張りで買うより、下がった銘柄を買うほうが安心というか」

写真・図版(2枚目)| NTTは2位に陥落「新NISA3カ月で買われた日本株ベスト30」高配当株いっぱい

オルカン型とロマン枠

 新NISAのもう一つの傾向は「思考停止型の買い」だという。

「NTTやJTが、その典型銘柄です。

株式投資は本来、銘柄や買い時を選ぶものですが、新NISAはちょっと違う。

 毎月第○週の╳曜日にオルカンを買う感覚で、同じ銘柄を買い続ける投資家が一定数います。銘柄は他にいっぱいあるのに。

 NTTもJTも配当狙いでしょう。存在的にオルカンの株版みたいになってきました(笑)」

 ランキング9位のメタプラネットや18位のリミックスポイントを見て、岡村さんは「あ、これはロマン枠」と。共通点は暗号資産のビットコインである。

「トランプ氏が大統領に就任したのが今年1月。暗号資産を優遇する政策を打ち出すとの思惑からビットコインに積極投資をしているメタプラネットなどに資金を振り向けたのでしょう。

 暗号資産の値上がり益には課税されますが、暗号資産を持つ企業の株価が上がっても、NISA口座なら非課税」

 業績の裏づけもない、値動きの荒い株をNISAで買う。初心者には勧められないが、ロマン枠という表現に笑った。

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