デビュー当時の宣材写真。(事務所提供)
デビュー当時の宣材写真。(事務所提供)

――お兄さんが26歳で逝去された後、当時18歳だった蘭々さんは今まで落ち続けていたオーディションに合格して複雑な思いになったそうですね。

 兄の死と引き換えのように仕事がどんどん忙しくなっていったので、とても複雑な思いを抱く時期もありました。子供の世界は時に残酷で、兄が近所の子供にいじめられる姿も幾度となく見てきました。でも私は小さくて何もできなかった。とてつもなく湧いてくる怒りをやり返さない兄に向ける事もありました。そんな自分に罪悪感を抱いたこともあったし、当時の私は小さくて世間の冷たい風当たりにどうすることもできなかったので、自分の心を上手く整理することができなかった。

逝去した2番目の兄との2ショット写真。(事務所提供)
逝去した2番目の兄との2ショット写真。(事務所提供)

当然大ゲンカ

――月日が経った今はどう受け止めていますか?

 今は重たい肉体からも解放されて天国で楽しく過ごしているんじゃないかな。願望ですけどね。

――お母さんの節子さんの介護はいかがですか?

 先日86歳になりました。ゆっくりだけど物忘れは進んでいて。デイサービスを利用しながらまだ1人暮らしをしています。ほとんどの人がそうだと思いますけど、住み慣れた家にいたがるんですよね(笑)。ギリギリまで自宅で過ごせるように、1番上の兄夫婦と分担してデイサービスのない日は掃除、洗濯、食事など日常生活のサポートをしています。母が2021年に圧迫骨折で動けなくなってしまった事をきっかけに、部屋にベットを入れるため、治療中に「大断捨離」を断行しました(笑)。おしゃれで多彩で、洋服やアクセサリーなども自作する人なのでとにかく物が多く本当に大変でした。ミシンだけで3台あったり、「どこのディナーショーに出るの?」と思うぐらい派手な服があったりして(笑)。捨てる、捨てないで当然大ゲンカになりましたけど、私はこれだけは絶対に捨ててはいけないという母の心そのものとつながっている大切なものは分かっていたので、それ以外は容赦なく捨てたり売ったりしました。

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