貧困家庭への支援のため、食料の寄付を集めることもした。それでも支援に限界を感じ、国政に転じようと考えた。
「これまで各地方自治体にピンポイントで働きかけて変化を促すことはできました。でも、施設の管轄が市だったり県だったりと自治体によってさまざまで、支援を全国的に一気に広げていくのは難しい。もっと上から、トップダウンでやれればという期待が今あります」
あのときの少年が「お礼です」
ひとり親家庭の就労自立支援や就職氷河期世代への支援などを掲げ、ひたすらに弱者に寄り添う。立憲民主党群馬県総支部の事務所内には「タイガーマスク運動」と書かれた虎柄の旗が大きく飾られていた。
「立憲民主党から出るというのはたまたま社会活動の際に知り合ったからだけなんです。政党を超えて弱者を支援したい。政治家は一般市民の生活を知らないと見られがちですが、私にはわかります。何曜日にこのスーパーに行けば、この食品が3割引きになるといった感じで、毎日を過ごしてきたので」

大きく報じられた15年前のタイガーマスク運動のときにランドセルを贈られたある少年は、2年前に高校を卒業。「会いたい」と言われ会いに行くと、「あのときのお礼です」と黒のかばんをプレゼントされた。
「初めての選挙で戸惑うばかりですが、街を歩いていて声をかけられる機会も増えてきましたし、一人で戦っているのではないと実感しています」
黒のかばんは選挙活動でも毎日、持ち歩く予定だ。
(AERA編集部・秦 正理)
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