
参院選の群馬選挙区(改選数1)から、立憲民主党の公認で立候補予定の河村正剛さん(51)。人気漫画の主人公と称し、匿名で児童養護施設などにランドセルを贈る「タイガーマスク運動」の先駆けとなった社会活動家として知られる。
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2010年のクリスマス、漫画「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗り、河村さんは群馬県内の児童相談所にランドセル10個を贈った。この出来事は大きく報じられたが、実は24歳のころから寄付を続けていたという。費用はすべて自身の給料から捻出してきた。
「22歳のときに転職で上京し、社会人として自信もついてきたころでした。電話ボックスの分厚い電話帳をめくって児童養護施設を探して、寄付を始めました。毎月1万円の寄付をもう30年近く、一度も途切れることなく続けています。政治活動となると、寄付は基本的にはだめなのですが、有権者が対象でなければ大丈夫とのことで、今は東京の施設への寄付を続けています。状況が許す限り、今後も続けていくつもりです」
「お前は俺の子じゃない」
河村さん自身が、孤児だった。母親は3歳のときに病死し、大分県の親戚の家に預けられた。数年後、「あなたには実は父親がいる。そちらで暮らしなさい」と言われ、戸惑いとともに福岡へ越す。だが実父と思っていた人物からは「お前は俺の子じゃない」と言われた。
「そこでは虐待を受ける日々でした。8歳のときです。幼心に何が何だかわからなかった。その後ルーツを探ったところ、本当に父ではなかったみたい。親というものを知らずに育った経験を経て、同じ境遇の子どもたちを支援したいという思いをずっと持ち続けていました」
義務教育を終えると同時に家から追い出され、アパートで独り暮らしとなった。役所にも相談したというが、対応は冷たかった。
「『義務教育が終わったら大人です』『自己責任なので自分で』と言われました。今ではあり得ない対応ですが、この突き放された経験がその後の活動の原動力でもあります」
日雇い労働をしながら高校を卒業。上京して車の整備士を経て、業務用カラオケを扱う企業に勤めた。転勤で2006年に群馬県前橋市に移住した後も、支援活動は精力的に続けてきた。