占い師、作家 しいたけ.
この記事の写真をすべて見る

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *

Q:昔から導火線が短く、割とすぐにプンプン怒ってしまいます。特に今の仕事では不特定多数の、顔も名前も知らない大勢のために、心血を注いでイベント企画や運営などをしているため、みるみるすり減って、気持ちがささくれ立って、怒りやすくなります。自分が仕事を背負いすぎているせいか?などと考え込んでいます。どのように意識を変えればいいでしょうか。(男性/企画・デザイン業/44歳/さそり座)

A:この相談者さんは仕事ができる方なんだろうと思いました。仕事ができる人の特徴として、一つの仕事に向き合いつつ、左目と右目で見えているものが違います。例えばメールの返信をしながら、もう一つの目では「メール返信にちょっと時間かかりすぎているな。もうちょっと効率化しなきゃいけないな」と新たなタスクを見つけているみたいな。仕事ができる人ってそういうことが当たり前の習慣として身についています。

 僕もそうですが、一つの時間に一つのことをやるのが得意なタイプもいて、どちらも間違っていません。でも一度に二つ以上のことを考えている人からしたら、周りにいる人たちがサボっているように見えてしまうし、「次のこと考えなさいよ。そこだけに集中しちゃダメだよ」と思うのは仕方ないと思います。

 この方の怒りがどこから湧いてくるかというと、「限界までやってますよ、私は。あなたたちと違って」っていう怒りのように感じました。

 それで、せっかくここにご相談を寄せていただいたのになんですが、これは簡単な解決法はない気がします。その人が抱く怒りやイライラ感って、人生をかけて取り組むべき修業テーマのような気がするんです。「どうしてもこれだけは許せない」という怒りを、それぞれオプションとして神様から与えられている、というか。

 でも一つだけ、僕が怒りを感じたときにやっている方法をお教えしますね。それは、怒りを感じる相手の24時間を無理やりでも想像してみること。朝起きた時から寝る時までを、勝手に想像してみる。

 その瞬間だけ見て「許せない」とジャッジした相手も、「昨日飲み会があってぼーっとしてるんだろうな」みたいに想像できると、嘘でもいいから1%ぐらい許すことができたりします。

 さそり座は左目と右目で見ている景色が違う人の代表みたいな人たちで、年を重ねると、これは悪い意味ではなくて、ちょっと宗教的になっていく人が多い気がします。神仏を信じていなくても、神社仏閣に行くようになったりだとか。

 きっと自分が許せないものが多いことを実感しているからこそ、許すエクササイズをしているのかもしれません。宗教って視野を広げる知恵みたいなものがすごく詰まっている場所だと思います。

AERA 2025年6月23日号

こちらの記事もおすすめ 人生の章が変わる前触れ、自分の周囲にあるルールを見直すチャンス しいたけ.さんがアドバイス
[AERA最新号はこちら]