読モから芸能界へ

 妻夫木といえば、高校時代に学生ファッション雑誌「東京ストリートニュース!」で読者モデルとして人気を博したほか、1997年に受けたナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)主催のオーディションでグランプリに輝き芸能界入り。98年放送のフジテレビ系「すばらしい日々」で俳優デビューを果たすと、2001年公開の映画「ウォーターボーイズ」で大ブレイクを果たし、「日本アカデミー賞」の常連俳優となった。

 過去の印象的な出演作について、ドラマライターの北村有氏が振り返る。

「やはり妻夫木さんといったら04年に放送されたTBS系ドラマ『オレンジデイズ』の結城櫂役でしょう。柴咲コウさん演じる聴覚障がいがある沙絵と心を通わせていく過程で見せたまっすぐな正義感と優しさに、世代を問わず多くの視聴者が心を掴まれました。同作で演じた青春の輝きと人生の迷いを同時に抱えるリアルさが、以降のキャリアにおける“人物像の深み”につながっているのではないでしょうか。

 また、22年公開の主演映画『ある男』では、他人の人生を生きた男の秘密を追う弁護士・城戸章良を演じ、正義と疑念の狭間で揺れる人間を重層的に表現していました。優等生のイメージを超えた“葛藤する大人の男”を体現し、演技派俳優としての地位を決定づけるきっかけとなったと思います」

20年前の姿に「ビジュ強っ」

 最近では、先月31日にフジテレビ系「世にも奇妙な物語35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~」で20年前の妻夫木主演作「美女缶」がリバイバル放送され、SNS上で「妻夫木のビジュ強っ!」「平成イケメンは、やっぱりブッキーが最強」といったコメントがあふれることに。

20年前、2005年頃の妻夫木聡

 また、現在は9月19日公開予定の主演映画「宝島」の全国キャラバンに奔走しており、今月には沖縄県那覇市の中学校をサプライズ訪問して生徒32人とハグや握手も。加えて、同県のプレミア試写会でも観客340人全員に妻夫木が“宣伝アンバサダー”の名刺を手渡しする会をサプライズで行っており、ファンとの交流に積極的だ。彼が長年トップ俳優であり続け、好感度が揺るがない理由について前出の北村氏が語る。

「20代から第一線で活躍し続けてきた妻夫木さんは、まさに平成の王子様的な存在としてアイドルのような人気ぶりでしたが、30代以降は『日本を代表する演技派俳優』へと自然に移行していった印象があります。コミカルからシリアスまで幅広い役を演じられる柔軟さに加え、人間味と親近感あふれる笑顔、そして誠実な佇まいが老若男女問わず愛される理由なのではないでしょうか。加えて、見た目の印象だけでなく、その変わらない“芯の優しさ”を視聴者が感じ取っているのだと思います」

「あんぱん」でも、その姿が「かっこよすぎる」と視聴者を沸かせた妻夫木。圧倒的な存在感で朝ドラを彩りそうだ。

(小林保子)

こちらの記事もおすすめ 実は「あんぱん」ヒロイン候補だった? 三女役「原菜乃華」はベビーカー時代にスカウトされる超逸材!
[AERA最新号はこちら]