「維新」から出馬する理由は?
――そもそも、日本維新の会から出馬しようと思ったのはなぜでしょうか。政策実現のためには与党である自民党や、野党第1党の立憲民主党という選択肢もあったのでは?
まず、与党が衆議院の過半数を割っている現状では、野党第2党や第3党であっても政策実現の余地は大いにあると考えています。むしろ、劇的な社会変革を提案するには与党の自民党ではないチームに身を置きたいと考えました。
そのなかで日本維新の会を選んだのは、理想の実現のためにシビアに手段を選択して、逃げずに正面から説明する維新の姿勢に最も可能性があると感じたからです。「全ての方を取り残さない、誰もが安心して暮らせる社会に」という思いは多くの国会議員や政治家志望者が持っているでしょう。一方、それを実現する手段を考えたとき、きれいごとや理想論だけでは難しい現実があります。
例えばマイナンバー制度のフル活用の問題。私はすべての方が行政のセーフティーネットに支えられるためには、行政が国民の皆さんそれぞれの状況を理解する必要があると考えています。誰が本当にしんどい状況にあり、誰が不正受給のようなことを企図しているのか。有限の資源を再分配するには、そこがつまびらかにならなければなりません。マイナンバー制度に不信感をお持ちの方が多いのは重々理解していますが、それに迎合してマイナンバー不要論を唱えるのはむしろ多くの人を救う理想から離れてしまうことになります。逃げずにマイナンバー制度のフル活用について説明していかなければなりません。
私自身、維新のすべての政策にもろ手を挙げて賛成しているわけではありませんが、そうしたアプローチを最も重視しているのが日本維新の会だと感じています。
――目標とする政治家はいますか。
特段、個人で理想とする人はいないですね。昔から、誰かに憧れてああなりたいという感覚があまりありませんでした。ただ、この方のこの部分がいいな、この部分をまねしたいなと思うことはあります。
例えば具体的に言うと、橋下徹さんの論点を明らかにして議論を喚起する能力、世論を引きつけて決断し、突破していく力などは素晴らしいなと思います。ほかに小川淳也さん(立憲民主党幹事長)の丁寧に言葉を尽くして説明をする姿勢も素晴らしいですね。そういったものを兼ね備えた、ハイブリッドな政治家になりたいです。
……って、これ言ったら名前が出ますよね。「橋下さんの決断力と突破力に小川さんの説明力を加えた」みたいな。もちろん、橋下さんに説明力がないとか、小川さんに突破力がない、という意味ではないので、そこはよろしくお願いします(笑)。
(聞き手・構成/AERA編集部・川口穣)
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