
高配当株を探すときによく聞く言葉が「配当性向」。配当性向は何%以上がいいのか。最近は「DOE(株主資本配当率)」を重視する傾向も強い。配当性向とDOEを組み合わせて30銘柄を選んだ。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
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企業が中期経営計画などで配当の強化を打ち出すときの重要キーワードは「配当性向」「累進配当」「DOE」である。
「毎年の利益の中から何%を配当に回すか、配当性向の目標値を掲げている企業が増えています。
配当性向は企業が株主還元にどれだけ積極的かがわかる指標です」
と解説してくれたのは、楽天証券外国株式事業部マネージャーの紙田智弘さんだ。
配当性向は何%以上がいいのか?
「企業には自社、社員、株主という3つのステークホルダー(利害関係者)がいるという考えに立てば、企業の利益は3者で3等分にすべきもの。
そう考えるなら配当性向30%前後が標準でしょう。業種によって異なりますが、20〜50%が適正といわれます」
配当性向は新規事業など今後の成長投資に資金があまり必要でない成熟企業のほうが高めになる。
IT系ハイテク企業やベンチャー企業など、稼いだ利益を成長投資に回して事業規模を大きくすることを優先する銘柄は、配当性向が低くなりがちだ。
なお、配当性向が低いから悪いわけではない。
「ソニーグループは配当性向10%前後です。利益は事業への投資や自社株買いに充てています。
自社株買いも含めた総還元性向では40%程度を目標としています」
配当性向が高すぎる株
配当性向が高すぎる銘柄は注意が必要な場合もある。
「配当性向が70〜100%、それ以上の銘柄もあります。利益の大半を配当に回している状態といえるでしょう」
配当性向が100%を超えている銘柄は株主資本を食いつぶし、社内のお金を株主に吐き出している状態だ。これが続けば、理論上は株主資本が枯渇してしまう。
いい状態とは言いづらいが、業種によっては「配当の高さで株主に応える」ケースもある。
