(左から)工藤静香、中森明菜、中山美穂さん
(左から)工藤静香、中森明菜、中山美穂さん
この記事の写真をすべて見る

 6月7日に東京の映画館・丸の内TOEIで「スケバン刑事フェスティバル」が開催される。1980年代後半にフジテレビ系でドラマ化され、映画でもヒットした『スケバン刑事』シリーズの作品が上映されるほか、斉藤由貴、南野陽子、浅香唯という3人の主演女優が舞台あいさつをする予定だ。

【写真】90年代は「かわいい×セクシー」が主流に!元祖はこの人!

 この3人にとって『スケバン刑事』に主演した意味は大きく、特に売れるまで時間のかかった浅香にとっては起死回生の転機となった。

 当時、筆者はアイドル雑誌の情報ページを担当していて、彼女の所属レコード会社の担当者に電話をしたところ、

「三代目麻宮サキに決まりました!」

 と、弾む声で教えてもらったことが今も印象に残っている。アイドルの「かわいい」と当時の言葉でいう「ツッパリ」を融合させたこのシリーズはまさにキラーコンテンツだった。この3人はそこに、見事にハマったわけだ。

「スケバン刑事」の南野陽子、斉藤由貴、浅香唯/「東映」公式ホームページより https://www.toei.co.jp/
「スケバン刑事」の南野陽子、斉藤由貴、浅香唯/「東映」公式ホームページより https://www.toei.co.jp/

 とはいえ、三人ともツッパリ系のキャラではなく、アクションが得意でもなかった。南野にいたっては極度の運動音痴で、お嬢さま育ち。そのぎこちないツッパリぶりが、ファンにはかわいかったのだろう。つまり、ミスマッチの魅力というやつだ。

薬師丸ひろ子、三原順子、そして中森明菜

 同様の成功例として、薬師丸ひろ子の映画『セーラー服と機関銃』や伊藤麻衣子(現・いとうまい子)のドラマ『不良少女と呼ばれて』(TBS系)が挙げられる。

 80年代には、こうした「かわいい」と「ツッパリ」という組み合わせが流行った。前出のケースとは逆に、ツッパリ系のキャラをかわいく見せることで売れた人たちもいる。三原順子(現・三原じゅん子)や小泉今日子、杉浦幸、工藤静香などだ。

 その背景には、ヤンキーのカジュアル化という現象がある。70年代の「不良」はもっぱら暗くて殺伐として、ともすればネガティブなイメージだったが、80年代にはもっと親しみやすく、ときには間抜けで、なんだかポジティブなイメージに変わった。

次のページ 象徴的だった横浜銀蝿となめ猫