「簡単に言えることではないけど、僕はM-1を見てお笑いを好きになったんで、そこで優勝したい気持ちはいつもあります」(寺家)(写真:蜷川実花)
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 昨年末のM-1グランプリで準優勝を飾り、一躍脚光を浴びる存在となったバッテリィズ。野球がきっかけでコンビを結成した二人がテレビ界を席巻する日も近い。AERA 2025年6月2日号より。(後編へ続く)

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 ──芸人仲間でつくる草野球チームで出会った二人は、17年秋にコンビを結成。ピッチャーとキャッチャーの関係性そのまま「バッテリィズ」として、大阪で活動をはじめた。

寺家:最初は、「アホなやつやな」っていう印象でした。でも、エースは芸人っていう職業に対する強い憧れや自信を持っていた。だから「芸人としてのいいアホやな」と思っていました。

テレビって“えぐい”

エース:子どものころから今もずっと「みんなを笑顔にするテレビスター」になりたいんです。

寺家:僕はM-1に憧れて芸人になって、そこに向けて準備をしてきました。でも今は優勝するためじゃなくて、エースをテレビスターにすることが目標になったんです。今の形になったのも結成6年目くらいかな。エースからボケとツッコミを入れ替えたらどうかと提案がありました。

エース:なんも結果が出てなかったんで、とりあえず変えてみたらと思ったんです。

寺家:ツッコミたくて芸人になったけど、今はいつもボケてます(笑)。勝つための形というか、思い切りました。

エース:手応えはすぐにはなかったですよ。でも、お客さんの反応を見てると「なんかいけそうやな」っていう感じはあって。

寺家:僕たちの優先順位は、エースをテレビスターにすること。今はそこに向かってネタ作りをしています。

──近年はメディアが多様化し、ユーチューブや配信など、「テレビ」以外の場所で活躍する芸人もいる。だが、二人はテレビにこだわりを持つ。

エース:テレビの時代を復活できたら最高やなって思っています。なかなか難しいのはわかってるんですけど、もう一回みんなに見てほしいんですよ。僕はテレビを見て育ったし、やっぱりテレビって面白いですよ。編集もそうですけど、出てる人がえぐいんです。一つひとつのコメントがすごいですから。

寺家:エースはテレビがほんまに好きなんです。

エース:ニュース以外は全部面白いです。「全部に出てる人」がテレビスターやと思っていて、僕のなかでのトップはもちろん(明石家)さんま師匠です。

──今年1月には、「踊る!さんま御殿!!」にコンビで初出演。その後も「さんまのお笑い向上委員会」に呼ばれるなど、“師匠”との距離は縮まっている。4月にはついに東京進出を果たした。

寺家:ずっと東京は目指していました。ファイナリストになったタイミングでそれが現実的になって、決勝で2本目に入れたときに腹くくったって感じです。理想的な上京の仕方で、ラッキーやなって思います。といっても4月は大阪の現場がめっちゃ多かったんで、来月くらいから実感がわくのかもしれません。

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