「価格が高くても販売先の外食・中食産業や小売店、ひいては消費者が買うことを予想し、高値でコメを仕入れました。JA全農に出荷しない場合、農家はペナルティーを負担する場合もありますが、大手コメ卸はそれを上回る金額を農家や中小の集荷業者、卸売業者などに提示し、より多くのコメを集荷することに成功しました」(小川さん)
当然ながら、大手コメ卸が仕入れたコメの調達コストは、例年よりも大幅に上昇した。ここで思い出してほしいのが中学校の社会科で習った「需要・供給曲線」のことだ。コストが上昇すると供給曲線は左にスライドし、均衡価格(需要曲線と交差する地点)が上昇することになる。
しかも、「生活必需品としての性格を持つコメの需要曲線は価格弾力性が小さい(価格が上下しても需要がさほど変化しない)こともあり、価格高騰に直結した」と小川さんは推察している。
「なお、日本には確立したコメの市場が存在しません。こうしたことから、コメを調達するコストの上昇分が取引価格や小売価格に転嫁されて高騰につながっていったというのが現実的な解釈でしょう」(同)
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