小坂鉄道レールパーク:レールバイクは、小坂鉄道レールパークの目玉のアクティビティーの一つ。自分の力で線路を疾走するのは、爽快そのもの(写真:小坂鉄道レールパーク提供)

 秋田県小坂町の観光施設「小坂鉄道レールパーク」では、09年に廃線になった「小坂鉄道」の線路上をレールバイクで走る。同パークには、「ブルートレインあけぼの」の車両を利用した宿泊施設もあり、鉄道ファンにはたまらないスポットとなっている。

 廃線跡を生かした楽しみ方は多様だ。中には、かつて実際に走っていた車両を自ら運転できるという、鉄道ファン垂涎の体験もある。

 北海道陸別町。「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」では、06年に廃止された第三セクター鉄道「ふるさと銀河線」の線路を一部利用し、旧車両による運転体験ができる。同鉄道を運営する、陸別町商工会事務局長の杉本武勝(たけまさ)さんは言う。

「現役時代そのままの線路を走る車窓からは、自然あふれる北海道の風景が広がります」

 この言葉通り、運転体験は、ふるさと銀河線が走っていた北海道の大地を感じながら満喫できる。5コースあるが中でも人気は、廃線跡の1駅分の運転体験ができる「気動車運転体験 分線(ぶんせん)コース」。旧陸別駅から旧分線駅間、国内最長の5.7キロ。価格は6万5千円と高額だが、キャンセル待ちが出るほど全国の鉄道ファンの人気を集めている。

 鉄道ライターの小林拓矢さんは、「廃線跡の活用には大きな意義がある」と語る。

ふるさと銀河線・りくべつ鉄道運転体験:かつて、ふるさと銀河線で活躍していたCR形気動車の運転体験ができるとあって、全国から鉄道ファンが訪れる(写真:陸別町商工会提供)

関係人口の増加

 現在、各地のローカル線の廃止とともに地方の過疎化が進んでいる。廃線跡を活用することによって、交流人口や関係人口が増えていく側面が期待できると言う。

「鉄道は、地域の人たちのアイデンティティーとも強く関わります。廃線となった鉄道を活用して残すことは、そこに暮らす人のアイデンティティーを保つことにもなります」

 小林さんが注目しているのは、日本神話ゆかりの地・宮崎県高千穂町の「高千穂あまてらす鉄道」だ。05年の台風災害で廃止となった第三セクター「高千穂鉄道」の線路を活用し、観光鉄道車両「グランド・スーパーカート」を走らせている。

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