
――これから先、さらに不透明な社会になっていきそうですが、子どもたちにはどのような力を身につけてほしいと思っていますか?
本当にそうですよね! 今から不安でしょうがないです。自分のことは自分で何とかできますけど、彼女たちは自分たちで考えて、生きていかなきゃいけないので。そのためのサポートを全力でしたいと思っています。生きていく力としては、今は愛情をたっぷり注ぐこと。自分に自信を持ってもらうこと。自己肯定がすごく大事だと思うので、どんな時も「家族はいつでも味方だよ」ということを感じてほしいですね。その安心感が、自信を育んだり、何かに挑戦するきっかけになったりすると思っています。
――そのために具体的にしていることはありますか?
人として対等に向き合って話を聞くことですね。必ずしもいつもできるわけではありませんが(苦笑)。いっぱいいっぱいの時は、「後でね!」と言ってしまいがちですが、なるべくその場で話を聞いてあげたいと思っています。何かあった時、本人の言い分があると思うので、「どうしてこうなっちゃったんだろうね」など、一緒に理由を考えたい。
父が教えてくれた「人生って楽しい」
子育てに関しては、父からこのようなエピソードを聞きました。私が生まれた時、父はたくさんの育児本を読んだそうです。その中で、人が社会からドロップアウトしてしまう背景には、家族からも友達からも学校などの社会からも見放されてしまうことが要因にあるのだ、と。そこで父は、自分は親として何ができるかを考え、その答えは、たくさん遊んで、たっぷり愛情を注いで、「人生って楽しいんだよ」ということを教えることだと思ったそうです。
私は「楽しさ貯金」と言っているのですが、楽しい思い出をたくさん貯金しておけば、いざ壁にぶつかった時やつらいことがあった時も、「これを乗り越えれば楽しいことが待っている」と思えるのではないかと思っています。娘たちには、たくさんの「楽しさ貯金」を貯めてほしいと思います。
その手段の一つとして、人とコミュニケーションを取れることは重要です。よりたくさんの人、異なる文化の人と話せることで世界が広がるので、その手段となる言語はやはり大切です。第一言語が英語の人ともそうでない人とも関わる中で多くの経験を積み、自分の頭で考えて行動し、「自分とは何か」を構築していってほしいです。
(構成/フリーランス記者・小野ヒデコ)
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