
さらに王子の玄関先での映像には、ボディガードが見当たらない。おそらくボディガードは同行していなかったと思われる。王子はイギリスでは「安全を感じない」と裁判所で主張した後に、一人きりでロンドンの町をかつての友人を求めてさまよい歩いていたのだ。
王室専門家は「王子はもうどうしていいか、わからないのだろう。イギリス国内では、家族はもとより、学校時代の友人など、あらゆる人間関係を失った」と言う。「王子には目的がない」と指摘する声もある。
アフリカの慈善活動「サンタバリー」では、理事長のチャンダウカ博士から人種差別や女性差別を糾弾され、辞任した。負傷した退役軍人のスポ―ツ大会「インビクタス」は実質的に二年に一度しか開催されない。「彼は自分が王子である意味を完全に失っている」とも言われている。
また、現在ウィリアム皇太子(42)とヘンリー王子の確執が深刻だが、かつては仲の良い兄弟だったと言われていた。しかし、ヘンリー王子は兄への恨みを早くから抱いていたという。それを裏付けるような、2023年に王子が受けたインタビューが注目されている。
王子はイートン校入学時、兄から「学校では一緒にいるところを見られたくない」と言われた。王子は「兄から歓迎されていない」と受け取った。
ダイアナ元妃の死後、チャールズ皇太子(当時)はヘンリー王子の進学先をイートン校に決めた。優秀な生徒が集まる同校への入学を疑問視する声もあったが、兄がすでに同校生だったので「警備がしやすい」と考えたという。

ところがヘンリー王子は、兄から「学校ではお互い知らないふりをしよう」と言われたのだ。「どういう意味か理解できなかった。同じ学校にいるのに一緒に遊べないのか」と王子は当時の疎外感を打ち明けた。王子は自分がイートン校を嫌ったのは「兄のせいだ」と断定する。
一方、ウィリアム皇太子は同校によくなじみ、ジョージ王子(11)が希望すれば母校への進学を望む。2人の王子は仲良し兄弟と長く信じられていたが、必ずしもそうではないようだ。ヘンリー王子の兄への恨みは根深いのだろう。
(ジャーナリスト・多賀幹子)
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