聖地エルサレムの「石」を展示したイスラエルブース=米倉昭仁撮影

エルサレムの古代の「石」も

 中欧・スロベニアのブースの一角には机が置かれ、観光案内所のような雰囲気だった。机の上に広げられた地図を指でなぞっていると、「スロベニアを訪れたことがありますか?」と、スタッフが英語で尋ねてきた。

「ええ。昔、中欧をドライブした際に立ち寄ったことがあります」

「今度、スロベニアを訪れたら、ブレッド湖に行くことをおすすめするよ。小さな島に教会があって、とても美しいところなんだ」(スロベニアブースのスタッフ)

 イスラエルのブースの中央には1メートル四方の石が鎮座していた。これは、もしや「嘆きの壁」の一部では――。

「実は、エルサレムの古代の城壁の石なんです。本当は『嘆きの壁』の一部を展示するつもりだったのですが、ラビ(ユダヤ教の指導者)に反対されて、断念しました」と、スタッフは残念そうに内情を明かしてくれた。

 たとえ英語や現地の言葉に自信がなくても、日本語で楽しくコミュニケーションできる。子どもたちも喜んでいた。

「たわいもない会話でも外国人スタッフと言葉を交わすと、その国との距離がぐっと近づく。実際に訪れてみたくなる」

 妻の言う通り、万博とはワールドワイドな「おもてなし」の場なのだ。

入場待ちの人にショーを披露するサウジアラビア王国館=米倉昭仁撮影

(AERA編集部・米倉昭仁)

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