EOS M5
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一眼レフ風になったキヤノンのミラーレス

「いままでのミラーレスに満足しているか?」。EOS M5の広告のキャッチコピーは挑発的だ。たしかに、他メーカーの既存のミラーレス機すべてに満足しているとは言い難いが、新しいEOS M5は既存のミラーレス機を超えたのだろうか。

 デザインは、レンズ光軸上に電子ビューファインダー(EVF)を置く一眼レフスタイル。ミラーボックスはなくセンサーもAPS-Cであり、EOS KissX7より小型だから、印象は多少異なるが、それでもグリップ感は優れていて、EOS一眼レフと併用しても違和感のないカメラに仕上がっている。ボディー表面はガンメタリックの塗装で高級感はあるが、カバー材質はプラスチック製で、ボディーを握った時の凝縮感、剛性感が弱いのは惜しい。

 動体に強いカメラとされている。EVFのフレームレートは不明だけど視認性は優秀で、通常撮影では表示遅延も問題にはならないレベルだ。しかし、不規則に動く動体をEVFで捕捉しながら連続してシャッターを切ったときのブラックアウトが気になる。連続撮影枚数はJPEGで約26枚、RAWで約17枚、JPEG+RAWで約16枚と、本気で使うには少し物足りない。コマ速度はサーボAFで約7コマ/秒。ワンショットAFで約9コマ/秒と満足できるレベルだが特別に高速という感じはない。

 デュアルピクセルCMOS AF(像面位相差AF)を採用し、高速なAFもウリで、たしかに初代EOSMやEOS M2と比べれば高速だが、体感的に激速と感じないのは他社のミラーレス機も日々進化しているからだ。また顔認識AFはあるが、瞳認識は非搭載だ。

 画素数は有効2420万画素。画質に関してはEOS80Dと同等で緻密さも十分。EOSミドルクラス一眼レフと同じレベルにある。

 先のキャッチコピーに突っ込むのはやめておこう。EOS M5はEOS一眼レフユーザーにとって心強いサブカメラだ。EF-Mアダプターを介し一眼レフ用の大口径レンズを開放絞りで使用する場合など、撮像面で測距するデュアルピクセルCMOS AFの高精度に助けられるし、散歩や旅行など気軽な撮影でもEOS一眼レフと同等の高画質が得られるから、EOS一眼レフとともに使い、被写体や撮影条件で使い分けることで大きな恩恵を得ることができるのは間違いないだろう。

上野。顔認識AFは街頭でのスナップショットにも大いに役立つ。AFのレスポンスも良好だ。カメラも小さく被写体に威圧感を感じさせないのはよい。フラットな日陰の条件だが、豊富な階調再現に助けられているし、細部まで描写に優れる。夜間や室内での撮影にも向いたミラーレス機である● EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM・18ミリ時・AE(絞りf8・320分の1秒・-0.7補正)・ISO400・AWB・JPEG
上野。顔認識AFは街頭でのスナップショットにも大いに役立つ。AFのレスポンスも良好だ。カメラも小さく被写体に威圧感を感じさせないのはよい。フラットな日陰の条件だが、豊富な階調再現に助けられているし、細部まで描写に優れる。夜間や室内での撮影にも向いたミラーレス機である● EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM・18ミリ時・AE(絞りf8・320分の1秒・-0.7補正)・ISO400・AWB・JPEG
十分な高感度性能ISO6400でも使える
十分な高感度性能ISO6400でも使える
ダイヤルは金属製で高級感があり操作感も良好で、デザイン的にもよいアクセントになっている。背面モニターはタッチパネル方式で、ダイヤルとの組み合わせで設定操作も素早くできる
ダイヤルは金属製で高級感があり操作感も良好で、デザイン的にもよいアクセントになっている。背面モニターはタッチパネル方式で、ダイヤルとの組み合わせで設定操作も素早くできる
ストラップの金具がクリップのような単純なつくりで気になる。ボディー側に通したのちにプラスチックのカバーを被せるのだが、カバーが抜けるのではと心配になる
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ストラップの金具がクリップのような単純なつくりで気になる。ボディー側に通したのちにプラスチックのカバーを被せるのだが、カバーが抜けるのではと心配になる
EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM/新しく登場予定の高倍率ズーム。EOS M5とのキット(実売17万100円)も予定されている。今回、実写はかなわなかったので、性能はわからないが、焦点距離からしてこれ一本でほとんどの撮影は間に合うだろう。軽量だが、少々長めのレンズなので、とくにテレ端ではEVFを使用して撮影したほうがよいだろう
EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM/新しく登場予定の高倍率ズーム。EOS M5とのキット(実売17万100円)も予定されている。今回、実写はかなわなかったので、性能はわからないが、焦点距離からしてこれ一本でほとんどの撮影は間に合うだろう。軽量だが、少々長めのレンズなので、とくにテレ端ではEVFを使用して撮影したほうがよいだろう

◆赤城耕一

●撮像素子:有効約2420万画素。約22.3×14.9ミリCMOSセンサー。総画素数:約2580万画素●ファインダー:0.39型電子式。約236万ドット●液晶モニター:3.2 型(3:2)TFT、約162 万ドット。タッチパネル(静電容量方式)。チルト式:上方向に約85°/下方向に約180°●シャッター:電子制御式、フォーカルプレーンシャッター。シャッタースピード:1/4000~30 秒。ストロボ同調シャッタースピード:1/200 秒●撮像感度:推奨露光指数:ISO100~2万5600●動画撮影機能:1920×1080/59.94fpsなど●連写:AF・AE追従:最高約7.0コマ/秒。AF固定:最高約9.0コマ/秒●ストロボ:手動ポップアップストロボ。ガイドナンバー約5(ISO100・メートル)●通信機能:IEEE802.11b/g/n、NFC、Bluetooth●記録媒体:SDメモリーカード(SDHC/SDXC、UHS-I対応)●大きさ・重さ:約115.6×89.2×60.6ミリ・約427グラム(バッテリーとメモリーカードを含む)、約380グラム(本体のみ)●価格:オープン(実売12万1500円)●URL:http://canon.jp/