岩城さんは言う。
「私の子どもは成人していますが、出産後は当たり前のように、郵便局の学資保険に加入しました。当時は今よりは返戻率も良かったのと、FPになる前でお金の知識もなく、何の疑問も抱かずに勧められるまま加入しました。学資保険に入ったので安心さえしていました。しかし、実際は学資保険の満期保険金だけでは足りません。また、保険は保障のためのコストもかかるため、お金はなかなか増えません。予定利率の低い今、貯めるのには合理的ではないお金の置き場所です。学費を貯めるために『学資保険』というのはお勧めできません」
学資保険とは子どもの教育資金を準備するための貯蓄型の保険で、1971年に郵便局が最初に販売を始めた。団塊ジュニア以降の親世代が学資保険で育ったので、その子どもたちも、前出の男性のように、教育費は学資保険に加入して備えるのが当然だと思っている人が多いそうだ。
学資保険は親らが契約者となって保険料を支払い、子どもが被保険者に設定されるケースが一般的。高額になりがちな大学入学時にまとまった「満期学資金」を受け取るほかにも、中学、高校に入学するタイミングで満期学資金や「祝い金」の受け取りが設定できるなど、子どもの成長にあわせて教育資金を備えることができる。
元本割れすることも
最大のメリットは、契約者に保険料の支払いが困難なことが生じた時には、それ以降の保険料の払い込みが免除される「保障」を兼ね備えていること。例えば、契約者である父親が亡くなり、母子家庭になってしまった場合でも、確実に教育資金を残すことができる点が強調されている。
「学資保険は、保険料の払込期間中に契約者が亡くなった場合に、保険料の支払いが免除になるというメリットはあります。しかし、多くの方はすでに死亡保険(生命保険)に加入しているでしょうから、それで十分ではないでしょうか。遺族基礎年金や遺族厚生年金で不足する分を民間の死亡保険で補うのが基本です。保障と貯蓄の両方に費用のかかる保険でお金を貯めるのは合理的ではありません。また、一定期間内で中途解約する場合、解約返戻金から解約控除が差し引かれ、元本割れすることもあります」(岩城さん)