
「AERA DIGITAL」や「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は4月6日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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2000年代半ばくらいまで、人気バラエティー番組「エンタの神様」(日テレ系)にレギュラー出演し、「R-1グランプリ」で準優勝するなど、華々しい活躍を見せていたピン芸人・ネゴシックス。同期の芸人たちが飛躍する中、最近とんとテレビで姿を見せず、先月に結婚を発表したものの、世間はほぼ無風状態。しかし、実は芸人以外の分野で成功者をおさめていた。
「ネゴシックスはといえば、若手芸人の登竜門『オールザッツ漫才』(MBS)で爪痕を残したのをきっかけに、2004年に『めちゃイケ』(フジ系)の人気企画『笑わず嫌い王決定戦』に出演したことで一躍、有名になりました。大阪在住のまま『エンタの神様』など東京の複数の番組にレギュラー出演し、ブレイク街道を突っ走るかに思われました。その後、東京進出を果たすも、仕事が激減。当時について、本人は『(エンタ、情報番組にNHKの番組もあって)『もう行っちゃおうかな』みたいな(感じで東京に)出たら、レギュラーも全部なくなって、家から出る必要なくなるっていう。俺は何を東京にしに来たんだ』とYouTubeの番組で回想していました」(テレビ情報誌の編集者)
芸人・ネゴシックスについて、お笑い評論家のラリー遠田氏はこう述べる。
「ネゴシックスさんは自作のイラストを使ったフリップネタを得意としていました。とぼけた味わいの不思議な世界観を持っていますが、個々のボケ自体は質が高くて、わかりやすいものでした。独特のカラーがはっきりあるのにポップな感じを保っているところは、イラストレーターとしての作風にも通じるところがある気がします。人柄が良くて芸人仲間にも愛されている彼だからこそ、そのような温かみのあるネタを作ることができるのでしょう」
仕事が減った後も東日本大震災が起き、お笑い系の番組が一時的に減る中、ネゴシックスはさらに苦境に立たされていく。そんな暗黒期に出会ったのがイラストの世界だ。
「東日本大震災で仕事が減った芸人仲間たちと、集まってみんなでイラストを描いていたそうです。このとき、麒麟の川島さんなどから絵がうまいと褒められたことがきっかけだと語っています。その後、描いた絵が1000円で売れたことも自信に繋がり、イラストレーターになることを決意したとか。もともとネゴシックスは高卒後、芸人、漫画家、アパレル関係の中で、どの道に進むか迷っていたそうでなんです。当時、『ヤングマガジン』に漫画を投稿したこともあるそうで、かなり本気で絵描きの道を目指していたのでしょう。芸人になってから、イラストを使ったフリップ芸をやるようになり、さらに絵の腕が磨かれていったと推測されます」(同)