石橋とさんま、芸風には大差なし?

 また、ダウンタウンや石橋といえば、このところの“文春砲”に伴い、過去の番組での女性タレントへのセクハラシーンがSNS上で拡散される事態となっている。例えば、フジテレビ系で1990年代に放送されたバラエティー番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」内のコントで、当時アイドルだった篠原涼子が浜田雅功に胸を揉まれたり、松本に股間を触られたりしていた場面などだ。

 加えて、同局系のバラエティー番組「とんねるずのみなさんのおかげです」では、かつてデビュー間もない松嶋菜々子がコント中に性行為を連想させる言葉を言わされる場面があったほか、霊能者に扮した石橋が工藤静香の頭に自身の股間を押し付けるシーンなどもあり、これらが今になって掘り返され物議を醸している。

 一方、さんまの場合は、2020年放送の日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」でよゐこの濱口優と結婚後の南明奈に「お子さんはまだか?」と投げかけるなど、デリカシーのなさや時代遅れな発言がたびたび批判を浴びてきたが、テレビで共演した女性に卑猥な行為をしたり、させたりすることで笑いをとっていた印象は薄い。だが、お笑いライターの新越谷ノリヲ氏は「芸風という話でいえば、石橋さんやダウンタウンとさんまさんに大差はない」と持論を語る。

「過去に石橋さんが松嶋さんに散々下品な言葉を言わせていたことが問題視されていますが、さんまさんが長年にわたってパーソナリティーを務めているラジオ『MBSヤングタウン』では、『ヤン娘。は癒せません』というハロプロメンバーに視聴者から投稿されたセクシーワードを言わせるというセクハラ企画のコーナーが一昨年まで19年間も放送されていました。テレビでもたびたびセクハラ発言やコンプライアンスへの無理解ぶりを披露していて、本人は『昔だったら許されていた』と嘆きますが、アップデートできていないことは明らかです。

 今回、松本さんや石橋さんに大きな批判が集まっているのはあくまで週刊誌やフジテレビの第三者委員会で指摘された“芸”以外の卑劣な行為に対してですが、芸風への批判はその行為に紐づいているが故でしょう。その点、さんまさんについて回るスキャンダルはどれも牧歌的で、卑劣さやエグ味の感じられないものばかりですから、その一線だけは守ってきたということでしょうね」

 関わった女性が被害を訴えたことで、過去の芸風まで否定されかねない状況となっている松本と石橋。この2人に足りなかったのは、スタッフや共演者みんなを「幸せにする」という“さんまイズム”なのかもしれない。

(小林保子)

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